『おかえり。』
□[ 借り〈side:sanji〉
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おれはシャワーを浴び、スーツに着替え、その足でダイニングへと向かう。
ドアを開けると、椅子に座っていたロビンちゃんがこちらを向いた。
そして…クソマリモ。奴はソファーに寝転がってイビキをかいてやがる。
「おはよう。」
先にロビンちゃんに言われてしまった。
「あ、あぁ。おはよう…。」
おれはドアを閉めて、中に入る。
「ロビンちゃん、やっぱり昨日の話、聞いてた…?」
「…ごめんなさい。男同士の話を邪魔する気はなかったんだけど、普段喧嘩ばかりしてる二人が、神妙な雰囲気で歩いて行ったから、どうしても気になってしまって。」
「さりげなさに欠けすぎだったね…。」
彼女の前では、おれは相当ガキに見えてるんだろうなァ。
「もうお別れは済んだの?」
煙を吸い込んだ瞬間に聞かれて、むせるとこだった。煙を無事に吐き出し、息を整え、返事をする。
「いいや…、してねェ。」
「いいの? あのコ泣くんじゃなくて?」
「…泣かせちまうかもな。」
「だったら…。」
「おれは必ず戻るから…!! 別れは言わねェ。」
「…。」
「迷いがなくなったな?」
クソマリモが起きやがった。どうせそうなると思ってたが…。
「迷いだと?」
「あぁ、昨日のてめェにはまだ迷いがすげェあったからな。なのに、おれに一方的な頼みをしやがったからふざけんな!って思ったが…。」
クソマリモは起き上がっておれを見る。
「今日のてめェを見たら…、頼みを聞いてやらねェこともねェか。」
「ってめェ!偉そうに…!」
「こんな時でも変わらないのね。」
ロビンちゃんは微笑んでいる。
ロビンちゃんの手元にはおれが書いたレシピ。それが視界に入った瞬間、おれは現実に戻された。
「…ごめんな。ロビンちゃんには本当に負担かけちまう。」
「私は構わないわよ。あなた達に会うまでは色々なことをしてきたのだから。これくらい苦ではないわ。」
「…。」
その返答が優しさから出たのだと理解はしたが、彼女の過去を考えると、おれは何も言えなかった。
そんなおれにマリモが冷たく言い放つ。
「そろそろ早い奴は起きてくる。とっとと行け!」
「ってめェ!! おれは…」
「あら、もう朝食の下準備はほとんどしてくれてあるのだし、大丈夫よ。」
「…けどっ!!」
「やっぱり淋しくて行けねェ!! ってやつか?」
「このっ!! ふざけんじゃ…」
「今が一番いいタイミングだ。少しは信用して、あとはおれ達に任せろ。」
ゾロの言うことは正しかった。おれの態度はかなり女々しくウザかっただろう。
「…十分信用してるよ。」
おれの本心だ。