『おかえり。』
□\ 戸惑い〈side:zoro〉
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「あいつが、船を降りるなんてあり得ねェ行動をしたのは、誰の為でもなく、あいつ自身の為だからだ。」
「…?」
「おれ達がいたら、あいつは自分の為だけの行動が出来ねェらしい。」
「…!?」
「要するに、今回あいつが自分のことをやりてェようにやるには、おれ達は邪魔だってことだ。」
「…邪魔!?」
「…あいつはそうは言わなかったが、言葉の意味は変わらねェだろ。」
ルフィはおれを掴んでいた手を離して背を向けた。
おれから今のルフィの表情はわからねェが、必死に落ち着きを取り戻そうとする様子がうかがえる。
「…サンジが、今回そこまでこだわる理由は何なんだ?」
「…残念ながら、詳しくは聞いてねェ。ただ、あいつの言ってたことは…」
“おれの中に流れる血へのケジメ”
「何だよ、それ…?」
ウソップが思わず呟いた。
ルフィは無言だった。
「分かるか?」
おれが聞くと、ルフィが逆に問い返してきた。
「…ゾロ、お前の考えは?」
おれは、おれなりに一晩考えた結論を口にした。
「あいつの出生に関わることだろう。人目を惹く姿といい、騎士道といい、どう考えても普通じゃねェだろ? あいつには、何かとんでもねェ秘密があってもおかしくねェ。」
「…秘密か。」
ルフィにも少し考えるところがあるようだ。
「だが…、」
おれはもう一つの結論を伝える。
「どんな秘密を持っていようが、あいつが仲間なことに変わりはねェんだろ、キャプテン?」
わずかな沈黙の後、ルフィが笑顔で振り返った。
「当たり前だ!おれのコックはあいつしかいねェ!」
それを見て他のクルーも力強く頷いた。