炎のゴブレット
□04. 秘密の約束
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天窓から心地よい日の光が差し込むなかアゲハは自然と目覚めた。
からだを起こして壁に掛かっている時計を見るとだいたい九時を指している。
どうやら丸一日眠っていたらしい。
さてどうしたものか、と思考を巡らせているとアゲハはふと昨日ダンブルドアに話そうとしたことを思い出した。
ベッドから飛び起き今後のことも含めダンブルドアと話そうと扉のある方向へ行こうとした時、自分の着ている服に目がいった。
(他に着るものが欲しいな)
アゲハが心の中でそう思った途端後方の壁に突然クローゼットが現れた。
クローゼットの扉を開けると、数え切れないほどの洋服と靴が並んでいる。
そのなかからアゲハは純白の袖や裾にフリルの付いたワンピースとピンクのスニーカーを手に取り着替え、ダンブルドアの元へと向かった。
*
「〜ホグワーツ ホグワーツ ホグホグ ワツワtっ!」
ご機嫌に校歌を歌い、スキップしながら進んでいると突然足を滑らして後ろにすっ転んでしまった。
その光景はアニメでよく見るバナナの皮を踏んで転倒するシーンのよう。
それどころか廊下は水浸しでびしょ濡れだ。
誰も見ていなかったことが唯一の救いだと思い、体を起こして水浸しの理由を考える。
(マートルかな。でもここ三階じゃないし…)
すると天井の方から高笑いが聞こえ始めた。
声の主はどこかとあたりを見渡すと、上の方に腹を抱えて笑っている小男がいた。
「ピーブズ!…もしかして今の見てた感じ?」
「しーっかりみてたぞ。──ところでおまえはだぁーれだ?」
「あ…てっ転校生のアゲハ・スズモリ。これからよろしくね」
昨日の今日で返事に戸惑ったが、怪しまれてはなさそうで一安心する。
怪しむどころかピーブズは、こんな機会が滅多にないのか、笑顔で“よろしく”と言ってくる少女に驚きをみせる。
でもすぐに我に返りいつもの意地の悪い口調にもどった。
「それでおっちょこちょいさんはどぉーこにいくんだぁー?」
「あ、そうだった!ピーブズまた今度!」
校長室の件を思い出しピーブズに手を降って角を曲がった。
「へーんなこ」
置き去りにされたピーブズは一人宙に浮きながらつぶやいた。