炎のゴブレット


□06.組分け帽子
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待ちにまった9月1日がやってきた。

教師陣は朝から生徒達を迎え入れる準備で大忙し。
ダンブルドアも今年は三校対抗試合があるせいか、朝食時から見かけなかった。


ホグワーツ特急が駅に着いたという知らせをゴーストや絵画達越しに聞き、胸を躍らせる。

アゲハはお気に入りのピンクのスニーカーの靴紐を結び、階段を一段抜かしで飛び降りて生徒達が来るのを待つ。
そして目立たないように生徒達の中に紛れ込んだ。

(ハリー達はどこかな…。)

ハリー達を探していると聞き覚えのある高笑いが悲鳴と共に聞こえた。
見上げると四、五メートル上にピーブズがいた。

「お馬鹿さん、みぃーつけた!」

アゲハ目掛けて水風船が次々と飛んでくる。
それをアゲハは杖を使って当たり前のように跳ね返す。

「まだまだだね!」

待ってましたとでも言うようにたちまち水爆弾戦争が始まった。
周りの生徒は悲鳴を上げて巻き込まれまいと離れて行く。

「ピーブズ!」

マクゴナガルが怒鳴り声を上げ、大広間から飛び出してきた。

「またあなた達ですか!」

アゲハがまずいと思った時には既に遅かった。
マクゴナガルに怒られるわ、跳ね返したつもりの水風船は人混みから数十メートル放れたところに水溜まりを作るわ悲惨だった。
しかも、目立たないように紛れ込んだつもりが逆に注目を浴びている。

唯一の幸いは外のどしゃ降りでずぶ濡れの上に、ピーブズの水風船を食らって二度も濡れる者が居なかったということだ。
ポジティブに考えるとだが…。

夏休み中ピーブズに出会うたび杖を抜いていたので自然と身体が動いてしまった。
慣れというものは恐ろしい。

ピーブズは「校長を呼ぶ」と脅され、大理石の上へと消えていった。
となると大体予想がつく。

「玄関ホールに池ができたのはあなたとピーブズの責任です。組分けまでに何とかしなさい!」

(やってしまった)

大広間に入っていく生徒たちがこちらを見てコソコソと内緒話をしている。

アゲハはかすかに聞こえてくる会話を聞き流し、ニタァと不気味な笑みを浮かべているフィルチから受け取ったモップで床を拭いた。
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