炎のゴブレット


□09.第一の課題
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少し肌寒い日曜の朝、大広間からハーマイオニーと持ってきたトーストを頬張りながら歩き続けた。
ハリーはこちらを気にしながら昨夜の出来事を虫食い状態で話している。

(まだ信用されないで当然だよね…)

代表選手に選ばれた晩、大歓声の人垣を静め、談話室からハリーを出させてあげた時に「私はハリーを信じるよ」と言ったが、何をしてあげたら良いだろうか。
ハリーとドラコの喧嘩を止めようかと考えたが、それだとハーマイオニーのコンプレックスがなくならない。

(取りあえずあのバッジか…)

「ロンを見かけた?」
「え、ええ……朝食にきてたわ」
「僕が自分で名前を入れたと、まだそう思ってる?」
「そうね……ううん。そうじゃないと思う……そういうことじゃなくって」

ハーマイオニーは口ごもり、アゲハにたすけをもとめるかのように目配せした。

「嫉妬してるとか?」
「嫉妬?何に嫉妬するんだ?全校生の前で笑いものになることにかい?」
「あのね」

ハーマイオニーは辛抱強くたまに言葉を付け足して説明しだした。

「僕が首根っこでもへし折られれば、楽しんでたわけじゃないってことを、ロンも信じるだろう―――」
「ばかなこと言わないで」
「時間が解決してくれるよ!ときには流れに身を任せるのも大事だよ?ね?」

アゲハは討論になっている二人の間に入り、二人っきりで話したいことがあるだろうと先に城に戻った。







それから数日、ハリーは四方八方から冷たい視線を浴びせかけられた。

「なーにしてるの?」

地下牢教室に入ると既に席に着いていたスリザリングループに詰め寄る。

「あぁ、アゲハか。いいだろう?お前もどうだ?」

モンタギューがローブに着いているバッジを胸に押し付けると“セドリック・ディゴリーを応援しよう”という赤文字が消え、“汚いぞ、ポッター”という緑に光る別の文字が浮かび出た。

「是非いただきたいな、あるだけね。転売してあげる」

アゲハは貼りついた笑顔でそれぞれに出されたバッジを受け取ると、鞄の中に入れ、スリザリン生に着いているバッジをも取って入れだした。

「何するんだよ」
「いくら気に入ったからって俺たちの分まで取らなくたっていいだろ?」
「あのね、そんな事して楽しい?人を物笑いの種にして何の特になるの!あなたたちがハリー側だったらどんな気持ちなの?!グリフィンドールとスリザリンが仲良くなるんだったら戦うから!」

スリザリン生はどっと笑った。
頭をポンポンとたたく生徒や腹を抱えて笑っている生徒もいる。

「なに、やる気?」

アゲハは使う気のない杖を向ける。

「杖をしまえ」

教室が静寂に包まれる。

「グリフィンドール5点減点。早く席に着きたまえ。」

スネイプは減点と言い渡し、いつも以上に険しい顔をしてアゲハを見据える。

「どうやら、我輩の貯蔵庫から薬草をくすねただけでは気がすまないらしい。ポッターに負けず劣らす目立ちたがりのようだ…」

アゲハは気にせず減点といびりはいわゆる愛情表現だと自分なりに解釈して、授業の用意を始めた。
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