炎のゴブレット
□10.予期せぬ課題
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何も知らされずに集められたグリフィンドール生は何事だと不安そうな表情をしている。
しかしマクゴナガルが穏やかな表情をしてやってきたことでみなの気持ちは落ち着いた。
「兼ねてより“トライ・ウィザード・トーナメント”に伴い舞踏会を行うのが伝統とされています。」
マクゴナガルはフィルチの蓄音機を調整する音を気にしながら話した。
「クリスマスイブの夜、お客様と共に、大広間で一晩楽しみ、騒いで結構。ただし!お行儀良く。皆様はトーナメント開催校の代表として一人一人が自覚を持ち、最高のリードをしてあげて下さい。これは文字通りの意味です」
マクゴナガルは中央を開けて壁際に座っている生徒たちを交互に見ながら続けた。
「舞踏会ですから、何よりも肝心なのは、ダンスです」
それぞれ女子からは喜びの声、男子からは落胆の声が上がる。
「静かに!グリフィンドールの寮は千年もの間魔法使いの尊敬を集めてきました。たった一夜でグリフィンドールの名を汚すことにいないよう、はしたなくはしゃいで羽目を外したりはしないこと」
向かい側ではフレッドとジョージがマクゴナガルの言葉を真似て早口で言い合っている最中なのであろう、互いに向き合って口を動かしている。
「ダンスでは、体をのびのびと解き放つのです。女の子の中には“優雅な白鳥”が眠っていて、飛び立つ時を待っているのですよ」
こうも男女に差が出るものなのだろうか、真剣に話を聞く女子に対して、男子はあまり聞く気がないようだ。
「男の子の中には“雄雄しきライオン”が眠っているのです。Mr.ウィーズリー?」
「はい?」
「さあ、踊ってみましょう」
突然呼ばれた言葉にロンは面食らい、マクゴナガルに服を引っ張られ、しまいにハリーに背中を押されて前に出た。
「右手を私の腰に当てて下さい」
「どこに?」
「腰です」
ロンは周りから(特にフレッドとジョージから)ヒューヒューと冷やかしを浴びている。
反論しようとするもののマクゴナガルに腕を元の位置に戻された。
「そして腕を伸ばして―――Mr.フィルチ、どうぞ」
マクゴナガルは“いちにっさん”とリズムを刻みながら音楽にのせて
ワルツを踊る。
「さあ、皆さん一緒に!男子もさあ、立って!」
周りの女子がみな立ち上がった。
男子はネビルを含み少人数しか立っておらず、マクゴナガルに立ち上がらせられている。
「さあ、パートナーと組んで!」
(みんな誰と組むんだろう?)
マクゴナガルとロンから目を話して辺りを見ると、ハーマイオニーはハリーと、アンジェリーナはフレッドと踊っている。
ジョージと踊ろうかなときょろきょろと見回すと既に先約がいたようだ。
「Ms.スズモリ、そんなところで何をしているのです?」
「あのー、パートナーがいません」
「では、Mr.ウィーズリーと踊りなさい」
マクゴナガルは一緒に踊っていたロンをアゲハとくっつけた。
「はあ、君と変われてよかったよ」
「こちらこそ良かった。一人で回ってないといけなくなるかと思ったよ」
そう言いつつもハーマイオニーでないことを申し訳なく思った。