企画

□Last ChristmasT
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「ルーモス」


雪が降りしきるクリスマスイブの夜。
展望台の二人の人影が明かりと共に映し出された。


「展望台は立ち入り禁止のはずでしょ。そもそも何時だと思っているの!?こんな時間に出歩くなんて校則違反よ」
「仕方ないじゃない、こうでもしないとゆっくり話すらできないんだもの。だいたい昼間に“いいよ”って言ったじゃない!」
「私が“いやよ”って言ったのをナマエが勝手に“いいよ”に解釈したんじゃない!……まあいいわ。何か悩みがあるんでしょ」
「リリーにはなんでもお見通しか…」


“当たり前でしょ”とでも言うようにリリーは鼻をフンッと鳴らした。


「……実は、“ある友達”は前々から好きな人がいてね。…その子は、明日その相手に思いを伝えようとしているの。…でもその子自分に自信がなくて伝えるべきか迷っているの…。私よく分からなくって。あなたなら何てアドバイスする?」


リリーは柵に肘を付き、うつむいているナマエの横に来て優しく話しかけた。


「その“ある友達”は勘違いをしているようね。自信がないんじゃなくて勇気がないだけだわ。…だって、私の知っているその友達は私を含む女子皆が羨む非の打ち所がないとっても素敵な子だもの。その子を振る男子なんているはずないわ!もしいたとしても私が呪ってやるわ!……やだ、泣いてるの!?」
「ちっ違うわよ!目に雪が入ったの!」


目元を必死で拭っているナマエを見て、リリーは“相変わらず嘘が下手ね”と笑った。
涙を拭き終えたナマエはリリーに向き直り言った。


「ありがとう。おかげで決心が付いたわ。お互いの寮同士は憎み合っているけど、私たちの友情は例外よね」
「ええ、もちろんよ」


リリーは少々涙ぐみながらもそう答え、ナマエに抱きついた。


「さ、そろそろ戻りましょう。明日のことどころか風邪引くわ」


ナマエは同意し、二人は展望台を後にした。
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