短編

□目に入れても痛くない
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澄み渡る空の元、扉の前にはバスケットを持った少年とその親が立っていた。

コンコンコン

応答がない。

もう一度ドアをノックをするも開く気配がない。

「既に帰っている筈なのにおかしいな。セブルス入るぞ」

ドアを開けると賑やかな声が聞こえてきた。
角を曲がり、部屋を覗くと奇妙な光景が目に入って来た。

「お馬さんもっともっと!」
「こうか?」

ナマエを背中に乗せ、床を張っているスネイプの絵面はルシウスが今までに見た中で最も滑稽な物に見えた。

「父上、どうしたのですか?」
「ドラコだめだ。今後に支障をきたす」

目の前で突っ立っている父親を不思議に思い、前に出ようとするドラコの目をルシウスは覆った。
ホグワーツに入った時に自分の寮監がこの様なやつだと思われては色々と問題が出る。

「わぁーい!いけいけ!──あ、ルシウスさん!」

その言葉にスネイプが急いでナマエを下ろし、馬の大勢から立ち上がって何もなかったかのように装う姿を見てルシウスは堪えていた笑いを押さえきれなくなった。





美しい花々に囲まれた場所にピクニックとは不釣り合いの二人組が丘の上で楽しそうに遊ぶ子供たちを温かい目で見つめている。

「はい、ドラコ」

ナマエはドラコの頭に花を編んで作った王冠を被せた。

「ふふふ、王様みたい!」
「本当か?僕は大きくなったら父上みたいな立派な人になるんだ!」

ドラコは小さいながらも堂々と胸を張って言った。
その言葉にルシウスはふんっと鼻を鳴らすも、どこか誇らしげな顔をしていた。

「ナマエは大きくなったら何になるんだ?」
「え、私?」

スネイプは木に寄りかかっていた身体を起こして身を乗り出した。

「私はねー、パパのお嫁さんになるの!」

ドラコは笑い、ルシウスも口角を上げたが、スネイプだけは打ちひしがれた顔をしていた。

「何がおかしいの!」
「だって、父親だぞ。おかしいじゃないか」
「全然おかしくないわ!」
「じゃあ───」

頬を膨らませているナマエにドラコが笑いながら話を聞かせている。

「可愛い娘を持ったな」
「ああ」

目に入れても痛くないとはよく言ったものだ。
スネイプは未だにドラコの説明に納得のいっていない様子のナマエを見て、ホグワーツに入学したら一人の生徒として扱えるかどうか、その前に入学させるべきか、悩んだ。

だか、嫁には絶対に行かせるものかと強く思った。


fin.
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