短編

□関係線が切れたなら
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※バレンタイン企画
※養子設定
※学校卒業済設定なので一応ロリではないですが、設定がアレなのでなんでも許せる方向け



可愛がられて育てられたこの屋敷の一人娘は大きくどこか威厳のある扉の前に立ち尽くす。
いつもこの扉の前に立つと尻込みしてしまう、最近は特に……。
バクバクと五月蝿い心臓を抑え付け扉をノックし私室の中に入った。

部屋の中に入ると目の前にはプラチナブロンドの長髪に黒で統一された高級感漂う服装に身を包んだ男が1人がけの立派なソファに座り、机に並ぶ書類に目を通していた。

「父上……お忙しい様なので、私出直します」
「その必要はないよ、魔法省のくだらない書類の為に大切な娘との時間を無駄にしたくない」

扉に手をかけようとした時、そう視線を上げて優しく言う父上は“おいで”と膝に手を乗せる。
その合図に私はいつもの様に父上の膝の上に乗り答えた。

「あの…重くはないですか……?」
「自身で浮遊呪文をかけておいて聞くのか?」

ルシウスはそう言うと悪戯っぽく笑い、年頃の娘を抱きながら黒髪を撫でる。
そしてなかなか言い出せずにいる彼女が手にしているものを見て口を開いた。

「さて、今日はバレンタインデーだったかな?」
「はい。あの、これお買い物に行った際に母上と選んで買いました。よろしければ」
「ほぅ、ナルシッサと。嬉しいよ、ありがとう」

ルシウスは娘と妻からのプレゼントを喜んで受け取り、目の前にあった杖を振り包を開けてみせる。
もう何年前だろうか、我が家では娘を受け入れた年から西洋式に加えて東洋式のバレンタイン文化を取り入れる様になった。
任務を達成できたと安心した彼女はホッと息を吐いている。

「どれ、早速戴こうかな。それとも優しい娘は私に食べさせてくれるのかな?」

自分でも少々意地悪い言い回しをしたと思う。
だが目の前の彼女は間はあったものの赤面しながらこくりと頷いた。

綺麗に並んだ中からチョコレートを一粒選んで取る。
それが娘の手から父の口の中へ。
渡す際に彼は勿論意図的になのだろうが指が唇に当たり当然自然と意識してしまう。

「美味い」
「よ、良かったです」
「……ん、何か不満気だな」

俯く彼女にルシウスはくつくつと笑いわざとらしく顔を近づける。

「そうだ、お返しをしないとな。……はい、どうぞ」
「でも…それは父上のです」

遠慮する口の前にチョコを差し出す。
それを貰うべきか悩んでいる娘にルシウスは口を開けるように言った。

ゆっくりと開く小さな口にその一粒を入れてやる。

「美味し、んっ!……んんっ」

突然チョコレートの入った口にルシウスの唇が覆い被さり隙間から口の中へ舌が侵入する。
舌が重なり二人の熱でチョコレートがあっという間に溶けていく。
息が出来ないと顔を離そうとするも後頭部を抑えられている為、身動きが出来ない。
僅かな抵抗の意を見せて胸板を押すも男女の差は大きくビクともしない。

「もう一ついるか?」
「いやっ…んっ……はぁ…もうっ、…は、ぁっ」

回答を待たずに重なる唇。
容量オーバーの小さな口内には貯めきれず口端から甘い液体が溢れた。


気づいたら美しい大人の女性へと変貌していた娘につい手加減を忘れてしまう。
だがそれに対して娘は慣れていないながらも一生懸命期待に応えようとしてくれる。
そんな娘がとても愛おしい。
父娘の垣根を越えて一人の女性として、娘が愛らしくてたまらないのだ。

「ああ、愛してるよ…」

娘へとまわす腕の力を強めて首筋に滴るチョコの混じった唾液を舐め取る。
その恥じらう顔も潤む漆黒の瞳も髪も陶器の様に白い肌も身体も自身では憎らしいと感じて仕方なかった刻印の刻まれた左腕さえも。

ルシウスがそう耳元で愛の言葉を呟くと、信頼してくれている嬉しさの反面どこか突き放された様な恐怖が入り混じった様な表情になった。

「私も……好きです、父上が…」


娘ではなく一人の女性として見られる恐怖。

「はぁ、っ…私…そろそろフクロウ小屋に行ってドラコ宛にもチョコレートを送らないと……」
「その程度、後で屋敷しもべにやらせればよかろう。今の貴重な時期は四六時中姉上、姉上と五月蝿いドラコが居ないのだから」
「でも、……んんっ…」

再び唇が重なると同時にふわりと感じる浮遊感。
お姫様抱っこでキングサイズより大きく感じるベッドへと下ろされ、逃げ出す間もなく押し倒された。

「さあ、いつもの様に続きをしようか」


fin.
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約5年ぶり?にハリポタ夢書きました。笑

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