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□第一章 貴方の世界へ
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ヴァリアー本部に着いたなまえは高級感漂う造りにあっけに取られていた。

(さすがヴァリアークオリティー!)

家とは大違いだと思いながらスクアーロに着いて行くとたくさんある中の扉の一つで立ち止まった。

「入るぜぇ」

すると中には……。


「カス鮫…その女は何だ」

なまえの恋焦がれる相手が玉座に座って待ち構えていた。

「ちっと訳ありだぁ」

ザンザスはスクアーロの隣に立っているなまえを睨みつける。

(ヤバイ…かっこいい!)

なまえは自分の顔がみるみる赤くなって行くのを感じた。

10年後だけあって色気がヤバイ。
まさか本人に会えるなんて…。
液晶見てるか!?お前を倒す日が来たぜ…。

そんなことを考えているうちにもスクアーロはなまえの先ほど話した事情を話して聞かせた。

ザンザスは話が終わるまで黙っていた。







「カス鮫、てめぇが面倒見ろ」

スクアーロが話し終えるとしばらくして黙っていたザンザスが言った。

「う゛お゛おぉい!なんで俺が!───まあ、とりあえずはここに居られるてぇことだな、なまえ。……なまえ?」

スクアーロがなまえの方を見るとなまえは顔を真っ赤にして鼻口に手を当てて突っ立っていた。

(鼻血出そう…)

いくら声をかけてもザンザスの方を向いたまま無反応なためスクアーロは無理やりなまえを部屋から出すしかなかった。


「これからここがなまえの部屋だぁ」
「ワオ」

あまりに凄すぎてどこかの委員長みたいなこと口走ってしまった。
広い部屋にはいかにも高級そうな家具が並んでいる。

(ここは宮殿ですか!?)

「いろいろあったんだぁ、ゆっくり寝ろぉ」
「今日はいろいろと本当にありがとう。おやすみなさい」

なまえが笑顔で礼を言うとスクアーロは一瞥して去っていった。

スクアーロが行ってしまうとなまえはだだっ広い部屋に一人になった。

「ここまで広いとなんだか落ち着かないなぁ」

あくびをしながらベッドルームへと向かうとベッドもキングサイズの天蓋付きベッドだった。
桁違いの大きさに驚いたがベッドに入ると眠りに付くまで時間はかからなかった。


一方部屋の外では既に噂を聞きつけた幹部たちがなまえについて話していた。







なまえを部屋まで送ってきたスクアーロは再びボスの元を訪れた。

「にしてもこんなことがあるんだなぁ」

腕を組み考え込むスクアーロの頭にザンザスが投げたウィスキーボトルがヒットする。

「てんめぇ、何しやがる!」

スクアーロはザンザスを睨みつける。

「おい、カス鮫。てめぇ、あの女に惚れてんだろ」
「なっ」
「フンッ、図星か」

ザンザスはせせら笑った。

「でもボスさんよぉ、てめぇもかなり好かれてるようじゃねぇか」

ザンザスが黙っているのをいいことにスクアーロは続けた。

「なまえをここに置いたってぇことは、少しは関心があるてぇことだろぉ」

ザンザスは相変わらず顔色一つ変えずにテキーラを飲んでいる。

思い出しただけで嫌気が差す。
自分でも分からないが、なまえのあんな状態を見てからどこかイラついている自分が居る。
それになまえの笑顔を見ると……。


スクアーロは唇をかみ締めて部屋を後にした。


「俺、まさか嫉妬してんのかぁ…!?」
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