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□飴と鞭
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他の事など何も考えられずに時だけ過ぎ、遂に夜が来てしまった。普段は基本的に船長の執務室で待機し、雑務や相談役を買って出るのだがあんな事を言われて密閉された場所にペットのジャックはいれど二人で居られるはずもなく。他の者に頼んだりして結局、あれ以来顔を合わせていない。それでも一等航海士か、と自分が実に情けない。
当初こそは説教の為又は解雇の呼び出しとばかり思ってビクビクしながら扉を開けたが、今はその意味が分からぬほど子供じゃない。まあ、違う意味で怖気付いているが…。

何せ彼は船長でありながら私の昔から尊敬する海賊なのだ。加えて不吉の象徴と言われている女を船に乗せる様手筈を整えてくれた上に、一人前に育て上げ、船長になった暁に一等航海士にまで任命してくれたという恩もある。

「船長、私です。失礼します」

心を決めて扉を叩く。
その扉を開けるとそこには林檎を口に運びながら地図を睨むいつもと変わらぬ船長がいた。

「…船長、進路のご相談でしょうか」

机の上を覗きながら発した上から降ってくる声に地図から目を離したサファイアと焦点が合う。それと同時に目の前の男の動いた右手に一歩後退りする、がそれは単に近くにあったグラスが目的地だったようだ。

「何をそんなに怯えている」
「あ、いや!その…」
「まあ、座れ」

違う事を考えていた自分が恥ずかしい。気付かれたくない所を指摘され焦りながらも大人しくユウは言われた通り指された目の前の椅子に座る。
だが、当たり前だが落ち着かない。いつもならこの夜の空間が耐えられなくて適当に仕事を見つけて気を逸らしていた。だがそんな事じゃない。そんな事、船長は求めていないのだ。先程も戯けて進路の件での呼び出しかと尋ねてはみたが、核心は異なる理由であるという事は前々の経験からして目に見えている。自ら進んで身を差し出した方が良いのだろうか?でももし違ったら…?今までに培ってきた地位は?淫乱な女だと思われたら嫌だ。ああ、私はどうすれば……。そんなことを頭の中でぐるぐると考えながら膝上の拳を強く握り、俯く目の前の男をただ見つめていた。

「やけに今日は大人しいな」
「え、…えと……」

何を言えば正解なのだ、と返答が思い付かずに餌を求める鯉の如く口をただぱくぱくさせ瞳を泳がせる様に男はせせら笑いを浮かべ立ち上がった。と思った瞬間、何が起きたのか分からぬうちに視界が暗くなり唇も塞がれる。

「……んんっ…!」

身構えていた筈なのに突然の事に驚いて開いた隙間から異物が侵入して来る。そのごつごつとした異物は紛れもない船長の指であり、それらは歯列をなぞり上顎を撫で私の口内を自由に泳ぎ回る。歯を立てる訳にも行かない為、その大きな掌を宛てがわれ視界を奪わた敏感な状態ではその主張する感覚を真に受け止める事しか出来ず、ただ口端からは下品に唾液が零れる。

「せ、っ…船ちょ…んッ…」
「何度言えば分かる、違うだろ?今は───」

低いバリトンボイスで自身のファーストネームを耳元まで唇を近づけて囁く。その声に何とも言えないゾクゾクとした感覚が耳から全身へ駆け巡るのが分かった。

「何度言っても分からぬ奴には仕置きだ」
「んんッ」

先程まで自身の上口内にあった指は下の口内へ的を変え、狙いを定めると一気に突き上げて来た。

「慣らすまでもなかったな。期待でもしていたのか?」
「ちがっ……っぁんッ!」
「違わないだろ?昼間のあの後から今晩俺に弄られる事を想像して濡らしてたんだろ?」
「んぁっ、…は…ぃ、っぁ…!」
「ふっ、随分と淫乱な女になったもんだ」

素直に答える顔も身体もとろとろに溶け切っている従順な部下に対し、余裕な顔で口角を上げじっくりと形を覚えさせるように未だに狭く締まる膣内で指を動かす。その動作に加えて攻めの言葉、それらは残り少ない理性を更に追い詰める。
少しでも快感を体外に放出しようと必死に首を横に振るも、湧き上がる快楽に脚がガクガクと震え、立っていられずに慌てて船長の肩に縋る。
こんな羞恥な姿、彼に嫌われないだろうか。この様な姿を晒している事が恥ずかしい。

「…ん、やめッ………ぁ…な…ん、で」

あと少しの所で寸止めをくらう。
いつもそうだ。彼はいつも途中でお開きにして私を部屋から出そうとする。最後までコトをしてくれた事は一度も無い。一方的に犯すのみで私には触る隙を与えてくれないのだ。それに対して日に日に私の素直な身体はこの行為だけでは満足出来なくなっている。もっともっとこの先の快感を教えてと身体が求めるのだ。……これではまるで拷問では無いか。

「行かないで……ください」

背を向け立ち去ろうとする彼の袖を急いで掴み引き止める。

「なんだ、やめて欲しかったんだろ?」

やだ、行かないで。やめないで。そばにいて欲しい。貴方が好きなの。それらを伝えたいのに否定の答えが返ってくるのが怖くていつも言い出せない。

「た、確かにそう言ったけど……。私、船長をとても尊敬してる半面、貴方の事が───」
「何て我儘なレディだ…。ターナーは良いのかな、お嬢さん?」
「ターナー?何で、ビル……っぁ!」

何故ビル?もしや昼間共に居たのを?完全なる誤解である。
違う。私が好きなのは船長、ずっと貴方なのに…。そう言いたいのに再び侵入して来た敬愛する人の手によってただ言葉にならない喘ぎ声だけが自身の口から出てくる。

「そんな…ぁっ!私は、んんっ…船ちょ、ヘクタぁ、が───」
「何だ」

その言葉に律動が止まる。視界がかち合い、欲に満ちた射抜かれるような瞳で見つめられれば身体の血液が全て集まったかの様に火照る顔。目の前の彼は次の言葉を待ってくれている。
しかしそう思ったのもつかの間、やっと引き抜かれたかと思ったそれは早く言えとばかりに本数を増やされて挿入される。

「んんっ!ん、ぁ…!へ、へく…たぁ、が……ほし、い」
「……ああ、承知した」

普段威厳のある船長の声が心無しか弾んで聞こえた。ふと突然感じた浮遊感の後、彼の寝台へと降ろされたのだと気づく。

「あと…林檎は鑑賞しても良いが、食用に尽きる。腐るまで置いとく馬鹿があるか」
「何故それを……んっ」

何故船長に貰った林檎の事を…それより全て知っててわざと。私の気持ちもずっと知ってて…。今までの焦らしの仕打ちは私のイエスの言葉を待っての行いだったというのか。

「一応生娘の様だからな、痛かったら言え」

まあ手加減してやれるかは分からんが、と付け足し押し倒す形で覆い被さる彼の顔は満更でもない。
その顔の距離が縮まり唇が重なる。重なるだけの接吻から舌を絡める濃厚なものへ。これまでの理想が現実となりふわふわと夢を見ているかのようだった。だがそれは太股を割って秘部に押し当てられるものによって一瞬で引き戻された。

「…っんん…ん」
「声を抑えるな」

声を出さまいと口に当てた掌達は邪魔だと言わんばかりに腰から引き抜いたベルトで一つに束ねられ頭上に貼り付けられる。

「……ぅッ…ぁ、こわ、ぃっ…」

下を確認すれば彼の大きく膨張したそれを私自身が飲み込もうとしている。初めて目にしたグロテスクなそれに動揺する間も与えぬほど、深く挿入するごとの痛みは増し、目の前の状況を理解する度に高揚感を覚える。

「……あぁぁッ!痛っ」
「くっ、やはりキツいな…。少し力を抜け」
「…ぁ…んぅっ、ゃ…ぁッ」

勝手に涙がポロポロと頬を伝い流れては彼の匂いのする枕を濡らす。その雫を舐め取る舌と掠れる髭が焦れったくて一層に声を出してしまった。

「ぃやっ……ゃぁ、ぁんッ」
「嫌だと?俺が欲しかったんだろ?」

そう、ずっとずっとこの時を待っていた。ヘクターを本当の意味で独占することが出来たと感じる、この時を。
痛みを快感と錯覚し朦朧とし始めた脳内では偽りさえ装う余裕も無く、どうなんだと奥を責められる中、痛みを逃す為にいやいやと横に振っていた首を必死にこくこくと頷いた。

「あ…ぁ、やぁッ…!」
「嫌では無く快いの誤りだろ、ほら!」
「あんっ!ごめ…ぁ、なさ、ぃ……へくた、ぁ……ごめ、な…ぁっ、ぃ」
「虐められて感じてる女は何処の何奴だ?」
「……ぁ、たし、で…ふッ!……き、ち…ぃいッ、で…ふ、ぁぁんっ!」
「good girl…」

逆らう応えは容赦なく深く奥を突かれる。とうの昔に理性など吹っ飛び、快楽に身を任せて淫らに腰を振ってはただただ言葉にならない声を発し、許しを乞う。
シーツは既に初々しい紅を染み込ませている。

「……んぁ…っぁ、あぁ、んっ…イッ、ちゃ……ッ!…」
「はっ、いいぞ…イケっ!」

止まらぬ所かさらに激しくなる律動に身体が弓形になり絶頂を迎えた。
もう頭が真っ白だ。何も考えられない分からない。目の前の彼が側に居てくれればそれで良い、そう思ってしまう。

「…へ、く……ぁ、…へ…く、たぁ……」
「ああ、お姫様。───その代わり、今夜は寝かせられないかもな」

舌っ足らずな口で甘ったるく彼の名前を呼んで手を伸ばせば絡まる指。
そして大好きな彼の低音で囁かれ、キュッと彼自身を締め付けてしまう。それに気を良くするとニヒルな笑みを浮かべて更に「これは調教の甲斐がありそうだ」などと耳元で囁かれ、私の素直な身体は食いちぎろうかという程、彼を再び締め付けてしまう。

「愛してる」

愛する男に愛の言葉を囁かれ、今までにない高徳感を感じる。それに応える様に、もう逃がすまいと言いたげな彼によって未だ解放されずに結われている腕を首へと回した。


「───ユウ、お前は俺の×××だ」


fin.
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あとがき的な何か。

初海賊夢!からの初裏夢。
毎年恒例、某ショーでヘクターにまた惚れ直してしまいました。そしてどうしても言わせたかった言葉…!だが…

▼だめだ、私に裏は向いていない様だ。

今後一切PoC夢書かないと約束するから許してくれ〜!


※PoC5は未だに1回しか視聴していません。
(ハリポタ最終話並に1回で精神的に来た奴←)
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