short

□After School Story
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今日も変わらず何事も無く帰りのホームルームが終わる。
下校中、ユウは「はあ」と深いため息をついた。

何故かって?
それは周りを見渡せば一目瞭然。
恋のシーズンなのだろうか、街はカップルだらけ。仲の良い友達も皆彼氏がいる。

対して、恋沙汰とは無関係の私は一人とぼとぼと通学路を歩く。
そんなユウの心中を読み取ったかのように突如目の前に現れた男性グループが話しかけてきた。

「よお、お嬢ちゃん」
「こんなに可愛いのに独りかい?」

無視を決め込みスタスタと歩くスピードを速める。

「無視は良くないなぁ」
「楽しいコトしたくない?」
「これから俺達と一緒に遊ばない?」
「結構です」
「そんな事言わないでさあ…」
「やめてくださ───きゃっ!」
「やっと追いついた!君たちは何してるんだい?彼女は僕の連れだよ」

腕を捕まれ連れていかれそうになった瞬間、私より1、2歳は年上であろうプラチナブロンドの男子が会話に入って来て、私の肩を抱いた。男達は舌打ちをして拳を上げたが、ヒューっと冷たい風が吹くと気が変わったのか涼しい顔で踵を返して行った。

「大丈夫かい?怪我はない?」

さっきから肩を抱く手を意識してしまって顔が赤いユウを、更に至近距離で尋ねる彼の整った顔が襲う。彼は、ハンカチを手に優しい笑みを向ける。

「わわわっ!だ、大丈夫です!さっきはありがとうございました!」

慌てて彼から飛び退き、深々とお辞儀をする。

「心配だから家まで送るよ」
「お、お気になさらず!助けてもらった上に悪いですから」
「いいや、でないと僕が安心出来ないからね。………その制服は…他校だね。そうだ、君の名前は?」
「ユウです…!」
「君に合った素敵な名前だ───」


「──ってことがあったんだよね」

ユウは休み時間に先日の出来事を友達に話した。

「はぁ、ユウそれ恋だよ」
「授業中もぼーっとしてるしいつも心ここにあらずって感じだし間違いない!」
「そうかなぁ、なんかモヤモヤするんだけど……」
「「それがそうなの!」」

これが恋……。
もっとフワフワしたものかと思っていたが、思ってたのとはかけ離れていて気づかなかった。

「んで、どんな人?」
「名前は?」
「あ……聞くの忘れた」
「「えぇ!?」」

妙に意識してしまい、帰り道に会話すらしていないのだ。そんなこと考えてなかった。
確かあの制服は他校の萌黄学園の制服だったはず。

付き合いたいなんて高望みしていない。
でも改めてあの時のお礼と……名前くらいは聞いても良いよね。
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