セブ誕 2014

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彼は、スネイプ先生の研究室へ辿り着くと、ドアを3回ノックした。
「アダム・エインズワースです。エイミー・ウィーズリーも連れてきました。」


いつでも頼りになるこの親友でさえ表情は硬い。でも私の方がもっとガチガチ。

それからすぐに
「入れ」というスネイプ先生の声と同時に鍵がガチャリと開けられた音がした。

失礼します、といってアダムはさっさと部屋に入っちゃうから、慌てて私も小さく失礼します、と言って部屋に入った。



「何故、呼ばれたのか、解るか?エインズワース」
私はびっくりした。
だって、いつも授業中に褒められる彼なのに、今のスネイプ先生は聞いたことがない程怒っているんだから。

彼はいつも通りに見えるけど、戸惑ってるのか、少しだけ目が見開かれていた。
「分かりません、先生。」


彼から私へじっと視線が移る。
彼が分かんないことが、私に分かったなら、首席だってとっていただろう。



授業中なんかよりも鋭い睨みに泣きそうになりながらも
『私も分からないです。先生』
ってなんとか答えることができた。



そんなことを言いながら私は泣いたことがない。赤ちゃんのときは別だけど、

双子にいじめられる対象はロンだったし、泣こうにも家じゃ誰かに聞かれるし、学校だって同室の子がいる。そもそも泣きたくなったことがない。

もちろん彼の前でも泣いたことがないから、私の泣きそうな声に驚いて、横目でちらりと私を見た。




「随分、…仲が良いようだ。」
スネイプ先生の声色はグリフィンドール生を減点するときのようなネチネチとした猫なで声へと変わっていた。
嫌な汗がつーっと背中を流れたけど、俯いて涙が零れるのは嫌だから、まっすぐ先生の方を見つめた。


「年頃の男女が、人目のつかない部屋で逢瀬を楽しんでいる等、褒められることはない。」

逢瀬ってまるで付き合ってるみたいじゃないか。
スネイプ先生に言い返したりしたら駄目なの位分かっているけれど、カッとなった私はとめられなかった。

『私、アダムと付き合ってなんか「黙れ、ウィーズリー。」…すみません』



「貴様らは楽しくていいかもしれぬが…スリザリンと、グリフィンドールの絶妙なバランスを保った関係を壊しかねない。」

話はそれだけで、私達は退出しようとしたんだけど
スネイプ先生が私だけを呼び止めた。


これは、彼とはしばらく会えないなぁ、なんて思いながら、彼を見ると、彼も同じことを思ってるようで、私を見た後、失礼します。と言って研究室を出て行った。



地下室の秘め事




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