走ろう。


□プロローグ
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公園でいつものように体力作り。



そのために来たのに。



公園には人だかりが出来ていた。


「……?」


「怜治様!!」


怜治、様?


なんだ、有名人でも来ているのか?


近くにいたスタッフみたいな人に聞いてみる。


「すいません」


「はい」


「今日って公園入れないんですか?」


「あぁ、今日はギャラクシー・スタンダードの撮影で入れないんですよ」


ギャラクシー・スタンダード……?確か友達が以前はしゃいでいた気がする。
まぁ、私には関係ないが。


「そうですか」


そう言ってスタッフさんから離れた。
そして、いつも運動の後にジュースを買う自販機まで行った。


自販機のところまで来ると、さっきの喧騒は嘘のように静まり返っていた。


今日の気分で苺ショート味のジュースを買う。
斬新だって?私も見つけた時驚いたさ。


ガコン、と苺ショート味ジュースが出てきた。


「え」


「え?」


突然後ろから声がしたものだから、慌てて振り返ると、爽やか系イケメンさんがいた。


「それ、おいしいの?」


それ、と言って指さしたのは私の手の中にある苺ショート味ジュース。


「あー、飲んでみます?口付けてないし……」


私は苺ショート味をイケメンさんに渡す。


「いいの?」


「はい」


「ありがとう、いやぁ、飲んでみたかったんだけど、買う気が起きなくて……」


「まぁ、この自販機で買う人はあまりいないと思いますけどね……」


この自販機はあまり通常で買えないような物ばかり売ってある。
苺ショート味ジュース然り、葡萄&蜜柑味ジュース然り。


「あれ、美味しい……」


イケメンさんが驚いた顔で苺ショート味ジュースを飲んでいた。


「気に入ったならあげますよ。そこの公園使えなくなったんで、運動できなくなっちゃったし……」


「え……?」


「じゃ、失礼します!!」


私は走ってその場を後にした。
後ろから声がしたけど、気にしたら負けだ。


そういえば、来週引っ越すんだから今日はそれの準備をしよう。




🌼*゚ 🌼*゚ 🌼*゚



「怜治様?今までどちらに……そのジュースなんですか!?」


公園まで戻ると、静馬がこちらに来て僕の手にあったジュースを見て驚いてた。


「あぁ、貰ったんだ」


「誰から貰ったんですか!?」


「――さぁ?」


僕はクスクスと笑って誤魔化した。


隣で静馬が騒いでるけど、そんなことより、このジュースの味の方が印象深かった。



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