走ろう。
□3話
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「よし、自己紹介も済んだし、水無月、テストすんぞ」
「え、テスト?」
支倉が他の部員の自己紹介をし終えるのを見ると、奏叶の肩を叩いてそういった。
「え、俺らの時にはしてなかったですよね?」
陸がそういった。
「八神たちは俺らとリレーしただろ。それでチャラだ。で、水無月は今日付で入部したことになったが、流石に勝負は無理だ」
「だから個人的テストしてもらって、今後の部活にどう取り入れるかを見極めるんだよね!!」
支倉、穂積が説明してくれた。
――なるほど、それならイケる。
「種目はなんですか?出来るだけ他の部活に支障が出ないようにするんですよね?」
「あぁ。移動するぞ」
移動と聞き、奏叶は驚いた。
――移動、するんだ……。
🌼*゚ 🌼*゚ 🌼*゚
取り敢えずジャージに着替えてから、移動する事になった。
移動、と言われて行った先は、奏叶が先日行った公園だった。
「ここって学校から近いんだ……」
「あれ、奏叶ちゃん来たことあるの?」
穂積が奏叶の独り言をすくった。
「うん、引っ越ししてきて五日ぐらい経った日に散歩がてら」
「あ、もしかして入学当日転入してきたのって、奏叶ちゃん!?」
「え、うん、そうだよ?」
「名前聞いただけだったから男の子だと思ってた……」
「うん、よく言われる。妹は女の子らしい名前なのにねぇ」
「え、妹さんいるの?僕も弟妹合わせて3人いるんだー」
「小日向君のところ大家族だね。うん、小学生の妹が一人いるよ」
――私なんかより、よっぽど女の子らしい妹が。
「水無月ー」
「はーい」
支倉に呼ばれて、奏叶は支倉の近くに行く。
「じゃあ、今からテストするぞ。つっても、50m走ぐらいだけどな」
ここからスタートして、奈々がいるところまで。
――いつの間に測ったんだ……。
クラウチング・スタートの構えをして、支倉の合図を待つ。
「Lady……Go!!」
🌼*゚ 🌼*゚ 🌼*゚
「す、凄いです、奏叶先輩!!」
走り終えた後、タイムを計っていた奈々が声を上げた。
「どれどれ……水無月先輩速!!チーター並じゃないんですか!?」
「私こんなに速く走れないよ……」
陸と奈々がタイマーを見ながら会話をする。そこへ支倉、穂積、門脇がやってきた。
「水無月のタイムは?」
支倉が聞いてきた。
「は、支倉先輩、見てください!!」
奈々はタイマーを支倉に見せる。
瞬間、支倉の目が点になった。
「5……5.5!?お前ほんとに女か!?」
「失礼ですね、女です!!足長いから足幅がでかいんですよ!!」
そう言えば納得された。
「勝負してください、水無月さん」
キラキラした目で藤原が申し出てきた。
「え」
「駄目ですか」
「いや、駄目じゃないけど……」
「よし、じゃあ藤原、水無月、お前らさっき始めたところに行け。計測しとく」
支倉の言葉で、奏叶と藤原は勝負することに。
――U-15の実力、お手並み拝見としますか。
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