走ろう。
□8話
1ページ/6ページ
あっという間に木曜日の放課後。
私はというと、日直の仕事に追われていた。
「恨むぞ日直の相方ぁ」
今日に限って休みの相方の男子に恨みの言葉を言ってから日直のノートを職員室に提出する。
――今日は確かグラウンドで練習だったな……。
早く行かないと。
……と、その前に。
ジュースを買いに行こう。
🌼.* 🌼.* 🌼.*
今日の気分はミルフィーユ味。
なめらかな口当たりである。
急いでジャージに着替えてグラウンドに行くと(ちなみにジュースは持っている)、陸と支倉先輩がいた。
「支倉先ぱーい」
「お、来たか水無月」
事前に知らせていたので今回は拳骨は回避できた。
「あ、奏叶先輩!!……って、なんスかそのジュース!!」
「聞いて驚け、ミルフィーユだ!!」
「なんでお前はそう変なジュースしか飲まないんだよ!!」
二人の突込みを受けつつ、視界の端にうつったもののことを聞く。
「そう言えば、さっき人いましたよね、スト部入部希望者ですか?」
「いいや、アイツは元スト部だ」
「へぇ。どんな人なんですか?」
「髪の毛長かったです!!」
と、何故か陸が答えてくれた。そう意味じゃなかったんだけどな。
――ん?
「髪の長い……もしかして、白っぽい、銀っぽい感じの色の髪?」
「はい!!」
「あ、その人知ってる」
そういうと、二人はえぇ!?と驚いた顔をした。
「なんで知ってるんだよ!!!?」
「この前屋上で寝てたら膝枕と上着を貸してくれました」
水を飲んでいた支倉先輩はそのまま吹き出す。
ちょ、陸にかかってるよ!?
「膝枕ぁ!?」
「その後お礼にスポドリあげたらその時飲んでたジュース少し飲まれました」
「ちなみに味は」
「その時が苺ショート味で、この前は苺カスタードクリーム期間限定生クリーム入、です」
「2回も飲まれたのかよ!!」
「だって見てくるんでつい……」
「先輩があげたんですね!!」
支倉先輩と陸のツッコミを聞きつつミルフィーユ味を完食する。
「ウォーミングアップしたら小日向君とリレーションの練習してもいいですか?」
「いや、水無月は――」
私の言葉に支倉先輩は別メニューを言った。
「――GO!!」
藤が走るのが見える。
あ、アイツ速度上げたな。
負けるものか。
1歩を大きくして藤に近づく。
「っ……藤――――!!」
追いついた!!
ハイタッチしたのはゾーンぎりぎり。
藤は一周終わると私たちの所に帰ってきた。
どうやらそれが終わりの合図だったようで、支倉先輩から上がるよう言われた。
.