文豪ストレイドッグス

□電車テロの裏側
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太宰が行方不明。





敦が慌てて事務所に入っていった。






「また川だろ」




「また土中では?」




「また拘置所でしょ」




国木田、宮沢、乱歩は太宰が居ないのは当たり前な事なので、そんなことを平然と言った。




「栞さんは、何か心当たりはありませんか?」




「さぁ……最後に見たのは、三日ほど前だったかと……」




栞は頭の中で神影に交信を諮ったが、どうやら彼女は寝ているらしく、何度呼びかけても反応はなかった。





「先日の一件もありますし……まさかマフィアに暗殺されたとか……」




「阿呆か。あの男の危機察知能力と生命力は悪夢の域だ。あれだけ自殺未遂を重ねてまだ一度も死んでいない奴だぞ」



国木田は紅茶のカップを置いた。




「己自身が殺せん奴を、マフィア如きが殺せるものか」





「でも……」





「ボクが調べておくよ」




部屋に入ってきたのは谷崎。




「谷崎さん!!無事でしたか!!」




「与謝野先生の治療の賜物だな。谷崎、何度解剖された?」




国木田のこの言葉により谷崎は顔を蒼くした。




「……四回」




あー……と、不穏な空気を醸し出す国木田、宮沢、乱歩。




何の事かさっぱりわからない敦と栞。




「敦君、栞ちゃん、探偵社で怪我だけは絶対にしちゃ駄目だよ」



ガタガタと震える谷崎を不思議そうに見つめる敦と栞。




「今回はマフィア相手と知れた時点で、逃げなかった谷崎が悪い」




「マズいと思ったらすぐ逃げる、危機察知能力だね。たとえば……」



乱歩は懐中時計を取り出しながら言った。




「今から10秒後」




「「?」」




「ふぁーあ……」



部屋に晶子が大欠伸をしながら部屋へ入ってきた。




「与謝野さん」




ビグッ、と震える谷崎。谷崎は栞の手首を掴んでいた。




「谷崎さん……?」




「逃げるよ、栞ちゃん」



谷崎はそういうと、栞の手首を掴みながら国木田たちと部屋から出て行った。





忽然と残された敦の行方は後程。
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