白の従者(マギ)
□信頼
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夜、青蓮は長年培った勘で紅炎の部屋へやってきた。
「紅炎様、青蓮です。入ってもよろしいでしょうか?」
「青蓮?いいぞ。入れ」
紅炎に許可を得、青蓮は部屋の中に入った。
「どうだ?白龍は」
「……白龍様は、私を信用していないと。そういわれました」
「信用していない?なんでまた……」
「……目が見えないのを理由で、ここに転がり込んでいるのではないか、と」
思い出すたびに胸が痛む。
「……それは酷いな。俺から言っておこうか?」
「いいえ、そんなことをしたら、もっと信用してくれないと思います。私一人で、頑張ります」
「……本当、青蓮は逞しいな。でも、無理はするなよ」
「はい、承知しました」
✿ ✿ ✿
その日から二週間が経った。
一向に、白龍との溝はなくならない。それどころか、深まっているような気がした。
今は夜で白龍が寝ているので、青蓮は自室の寝台に座っていた。
「……どうしたら、白龍様に信用してもらえるのでしょうか……」
「そうねぇ、あの子、あまり人を受け入れないから」
「そうなんですか……って、ん?」
声のする方に振り向くと、人の気配があった。
「あら、本当に目が見えないのね。ごめんなさい、勝手にお部屋に入ってしまって」
上品な言葉が青蓮に降りかかる。
「あの……貴方様は?」
「初めまして。白龍の姉、練白瑛です。貴方が青蓮ちゃんね?」
「は、白龍様のお姉様!?も、申し訳ございません、申し遅れました、華青蓮と申します!!」
青蓮は慌てて寝台から降り、膝をつく。
「構わないわ。顔を上げて」
白瑛に言われ、青蓮は素直に顔を上げた。
「包帯を……生まれたころから見えないの?」
「……はい」
「……白龍と、仲良くできていないのね」
「仲良くなんて、滅相もない!!ただ、信頼されていないのが……少し、胸が痛いです」
「白龍ったら……こんな可愛い女の子を……」
白瑛はぶつくさと言いながら青蓮の頭を撫でた。
「ふぇっ!?」
「大丈夫よ、青蓮。明日、白龍の部屋へ行くわ」
「は、はい」
白瑛はそういうと、青蓮の部屋から出て行った。