白の従者(マギ)

□信頼
1ページ/2ページ





夜、青蓮は長年培った勘で紅炎の部屋へやってきた。





「紅炎様、青蓮です。入ってもよろしいでしょうか?」






「青蓮?いいぞ。入れ」




紅炎に許可を得、青蓮は部屋の中に入った。




「どうだ?白龍は」





「……白龍様は、私を信用していないと。そういわれました」




「信用していない?なんでまた……」




「……目が見えないのを理由で、ここに転がり込んでいるのではないか、と」




思い出すたびに胸が痛む。




「……それは酷いな。俺から言っておこうか?」




「いいえ、そんなことをしたら、もっと信用してくれないと思います。私一人で、頑張ります」




「……本当、青蓮は逞しいな。でも、無理はするなよ」





「はい、承知しました」













✿    ✿    ✿













その日から二週間が経った。






一向に、白龍との溝はなくならない。それどころか、深まっているような気がした。






今は夜で白龍が寝ているので、青蓮は自室の寝台に座っていた。





「……どうしたら、白龍様に信用してもらえるのでしょうか……」






「そうねぇ、あの子、あまり人を受け入れないから」





「そうなんですか……って、ん?」




声のする方に振り向くと、人の気配があった。





「あら、本当に目が見えないのね。ごめんなさい、勝手にお部屋に入ってしまって」





上品な言葉が青蓮に降りかかる。





「あの……貴方様は?」




「初めまして。白龍の姉、練白瑛です。貴方が青蓮ちゃんね?」





「は、白龍様のお姉様!?も、申し訳ございません、申し遅れました、華青蓮と申します!!」





青蓮は慌てて寝台から降り、膝をつく。





「構わないわ。顔を上げて」




白瑛に言われ、青蓮は素直に顔を上げた。




「包帯を……生まれたころから見えないの?」





「……はい」




「……白龍と、仲良くできていないのね」




「仲良くなんて、滅相もない!!ただ、信頼されていないのが……少し、胸が痛いです」





「白龍ったら……こんな可愛い女の子を……」




白瑛はぶつくさと言いながら青蓮の頭を撫でた。





「ふぇっ!?」




「大丈夫よ、青蓮。明日、白龍の部屋へ行くわ」




「は、はい」




白瑛はそういうと、青蓮の部屋から出て行った。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ