白の従者(マギ)
□お茶会
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白瑛は二人を引いて、中庭に出た。
「青瞬、お茶会をしましょうか」
中庭にいた青瞬は、白龍と青蓮の姿を見、首をかしげた。
「姫。皇子と……そちらは……」
「華、青蓮と申します」
青蓮は丁寧に青瞬に頭を下げた。
「李青瞬です。貴方が皇子の従者ですね。本当に目が見えないという……」
青瞬は青蓮を一目見た後、一緒にお茶会の準備をした。
「あらやだ、お菓子が切れているわ。青瞬、白龍と一緒に取ってきてくれないかしら」
「判りました、行きますよ皇子」
青瞬は白龍の腕を引っ張りながらその場を離れた。
「さて、青蓮。二人でしばらくお茶をしましょうか」
「え?ですが、お菓子が切れているのでは……」
白瑛はフフフ、と笑いながらお菓子入れのツボを揺らした。
ガラガラ、とお菓子がたくさん入っていることが音でわかる。
「青蓮と喋ってみたかったの。さ、座って」
「で、ですが……」
「二人は良いのよ、全然。さ、少し早いけど始めちゃいましょう」
白瑛は青蓮を椅子に座らせると、白瑛自身も椅子に座り、お茶を入れ、青蓮の前に置く。
「白瑛様にお手を取らせてしまうなど……誠に申し訳ございません」
青蓮は頭を下げる。
「大丈夫ですよ、これくらい。さて、いくつか質問をしてもいいですか?」
「は、はい、私などでお応えできる範囲ならば……」
「青蓮は、生まれつき目が見えないのですよね。もし、眼が見えるようになったら、何を最初に見てみたいですか?」
「小さいころから、見てみたいと思っていたものがあります」
「それは何?」
「空です。空って、どんな色をしているんですか?」
白瑛は目を見開いた。
そうか、彼女は一度も『空』を見たことがないのね……。
白瑛は戸惑いながらも。白瑛は少女の質問に答えようと言った。
「空……そうね、いろんな色をしているわ。お昼は澄んだ青色だし、夜は真っ暗」
「いろんな色……見てみたいです、空」
青蓮は空を見上げた。
「もう一つ、いいかしら」
「はい」
「包帯、取ってみてくれない?」
青蓮は一瞬ポカンとしたが、慌ててハイ、と答えると、眼にかけている包帯を外した。
包帯を外し、開かれた眼の色は、とても綺麗な琥珀色だった。
「……きれいな瞳ね」
「そ、そんなっ……滅相もございません……」
「何も恥じることはないわ。私はただ本心を言うまでです」
そこに丁度、お菓子を持ってきた二人が帰ってきた。
「ふふ、どうやら来たようね。ごめんなさい、私の勘違いだったみたいです。お菓子、ありました」
白瑛はそういうと青瞬と白龍を席に座らせた。
「あの、姫。不躾なのは重々承知なのですが、彼女は……?」
「あら、もう忘れたの、青瞬。青蓮よ」
「「え!?」」
声が重なる白龍と青瞬。その声に驚く青蓮。
「いや、包帯してたから……つい……きれいな琥珀色ですね」
「あ、ありがとう……ございます」
青蓮は頬を赤く染めながらお礼を言った。
白龍はそれを、むすっとした状態でその光景を見ていた。