白の従者(マギ)

□悪夢
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その夜。




昼間に眠っていたので青蓮は夜の城を歩いていた。





「やっぱり、昼に寝たのが響いているのかな……」




おかげで、まったく睡魔が襲ってこない。




夜の散歩をすることにした。




「……ぅ」





何処からか、呻き声が聞こえてきた。





「うぅ……」





歩くにつれて、呻き声がはっきり聞こえる。





声が聞こえる方に進んでいくと、白龍の部屋に突き当たった。





「白龍様……?」





青蓮は部屋の扉をこんこん、と叩いた。





「白龍様?青蓮です。いかがされましたか?」





声をかけたが、返事は返ってこない。





「白龍様……?」





「――うああっ!!」





「っ、白龍様、開けますよ!!」





青蓮は扉を開けた。





眼が見えない青蓮は部屋がどういう状態かもわからなかったが、ジン、マルバスはその状態を見て唖然とした。





散らかった本や服。寝台には呻き声を上げ続ける白龍がいた。




「白龍様!?いかがされましたか!?白龍様!!」




青蓮は勘で白龍がいる寝台に辿り着くと、白龍に呼びかけた。





「うっ……青蓮……?」




白龍は青蓮の声に気がついたのか、目を覚ました。




「……何故俺の所にいる?」




「白龍様の呻き声が聞こえたので、勝手ながら入らせていただきました。どうかされたのですか?」




「いや……少し、嫌な夢を見ただけだ」




「……そう、ですか。それでは、今度は夢見が良いといいですね。では、私はこれで」




「っ、待って……――」


出て行こうとした青蓮の服の袖を白龍は咄嗟に掴んだ。
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