白の従者(マギ)
□歌
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夜。
昼間は紅覇に絡まれたりしたため、いろんな意味で青蓮は疲れていた。
かといって、寝台で横になっていても眠気が来るわけでもなく。
「……マルバス、起きてますか?」
『……どうした、主。眠れないのか?』
「……はい。何故か寝つけず……」
青蓮は寝台から出ると、中庭へ出た。
『お、今夜は星が綺麗だな』
「……星?」
『……主は、星も見たことがないのだな』
「……はい。空も、太陽も、鳥も、星も、月も。虹というものも、見てみたいです」
『……白龍皇子や白瑛皇女を見てみたいとは思わないのか?』
「……私のような下卑た者が、見れるようなお方達ではないので」
青蓮はシュン、とした表情をしたが、見えない星空を見ていた。
『……青蓮よ』
「なんですか?」
『歌を歌ってくれないか?』
「歌……?」
『白龍皇子が悪夢を見ていた時に歌っていたあの歌さ。あれなら歌えるのだろう?』
マルバスに言われ、青蓮は軽く口を開いた。
「――……」
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