走ろう。


□4話
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昼休み。


ハルとは別れて単独で屋上へ行ってみる。


春の陽気が眠気を誘ってくる。


――ちょっとぐらいなら平気かな……。


奏叶はその場に寝転び、瞳を閉じた。







✿   ✿   ✿







「……」


パチリ。


眼を開けると、綺麗な白っぽい色が見えた。


「……起きたか」


「――え?」


なんだこれ、なんだこれなんだこれ。


ちょっと待て。


奏叶の目の前には髪の長い男子生徒がいて。


しかし彼の顔はさかさまを向いているわけである。


――……膝、枕?


バッと上体を起こすと髪の長い人は退いてくれた。


「え、あの、え!?」


混乱している頭を何とか落ち着かせようとするが、落ち着かない。


「落ち着け」


男子生徒が奏叶の肩を優しくたたいてくれた。


「俺がここに来たときはお前は寝ていた。コンクリートに直に頭を置くのは痛いだろう……」


だからと言って普通赤の他人に膝枕をするのだろうか。


訝し気に見ていると、奏叶の視界に学ランが入る。


その学ランはどうやら奏叶の上に乗っていたようで。


「あのー……もしかしてかけてくれちゃったり……」


「した」


「すいません!!」


土下座レベルで頭を低くして瞬間的に綺麗にたたむと、男子生徒に手渡す。


「気にするな」


「あー、ちょ、ちょっと待っててください!!」


「っ、おい」


引き留める声を無視してダッシュで屋上から階段を駆け下りて食堂へ行く。


そして例の自販機の前で止まると、奏叶用のジュースを一本購入した。


それから、普通のジュースが売っている自販機に移動して目をつぶって適当に押す。


ガコン。


出てきたのはスポーツドリンクだった。


――まぁ、いいか。


それを取って奏叶は再び屋上の階段を駆け上がった。




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