文豪ストレイドッグス
□神影という人物
2ページ/3ページ
貴方は私。
私は貴方。
まるで鏡のような世界で済む私と貴方。
夢と現(ウツツ)の間で私が見る朧気な記憶。
私自身が、人を殺している。
でもそれは私ではなく、もう一人の自分。
だから私は、見ないようにしているんだ。
きっとその方が、もう一人の私のためになると思うから。
鏡を見ているような気分になる。
貴方と向かっていると。
だって、殆ど同じなんだもの。
それでも貴方は、私の事を心配してくれるのね。
こんな酷い私なのに。
駄目なんだ、そんなことをしたら。
人を殺したら駄目。
闇市に行ったら駄目。
そんな奴らと手を結んでは駄目。
ぼんやりとだけど、貴方がしていることを私は少しだけ覚えているの。
駄目だよ、そんなことしたら。
絶対、絶対駄目。
貴方は……私みたいに幸せにならなくちゃいけないのに。
どうしてそうやって、泥沼に自ら進んで落ちて行こうとするの――?
.