白の従者(マギ)
□夢
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「……っ」
目覚めると、柔らかい感触が背中にあたっていた。
寝台の上か。
眼許に触れると、包帯が外れているのに気付く。
「あ。包帯……」
だが、包帯を見つけようとした手に何かが触れる。
「っ……?」
「青蓮、起きたのか」
「その声……白龍様!?」
ガバッ、と起き上ろうとするのを白龍は慌てて止める。
「起きるな。神官殿と紅炎殿との会談中に倒れたんだ。熱中症か?それとも寝不足か……おい、聞いているのか?」
青蓮は白龍の言葉をぼんやりとした頭で聞いていた。
「白龍様……」
「どうした?」
「実は……私、記憶がないようなんです」
「……どういうことだ?」
白龍は、水で濡れたタオルを青蓮の額に置くと、寝台の側にある椅子に座る。
「神官様が、私に質問したんです。何処から来たんだ、と。ですが、何処から来たのか……全く思い出せないんです」
微かに覚えているのは暖かい光。
「……あれ」
どうして、自分は『光』が見えた?
夢の中では、眼が見えていたのか。
「どうした?」
「……いえ、何でもないんです」
青蓮はニコッと笑うと、額に置かれた手拭いにそっと手を触れた。
「とりあえず、今日は休んで――」
「白龍様がデレてますね」
扉の方から青舜の声が聞こえた。
「っ、青舜!?」
「青蓮殿に優しいなんて……デレましたね」
「青舜!!お、俺はデレてなどいない!!」
「青蓮殿、今白龍様は顔が真っ赤なんですよ。青蓮殿にこんなにかわいがるなんて……」
「青舜!!」
白龍は青瞬を怒鳴りつけると、部屋から追い出した。
「――……ったく……」
白龍はハッとした顔で青蓮は見た。
青蓮は白龍の気配を探り出して、こちらに顔を向けていた。
「あっ、そ、その。は、早く治してもらわないと、俺が困るから……だ、だから早く治せ!!」
青蓮は一瞬ポカンとしたが、クスクスと笑い、「はい」と短く答えた。