白の従者(マギ)
□嫉妬
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「あ、あの、白龍……様?い、いかがなされたのでしょうか……?」
青蓮は白龍に手首を掴まれながら歩いている状態で、青蓮は困惑していた。
白龍の部屋に入った瞬間、白龍は口を開いた。
「……して」
「え?」
「どうして、黙っていた」
「な、何の事……ですか?」
「とぼけるな!!」
白龍は握っていた青蓮の手首をギリギリと音を立てながら握り締めた。
「白龍様……!?」
「お前、戦えることをどうして黙っていた!?」
「え……」
「しっ、しかも俺よりも強いし……ふざけるなよぉぉぉ!!」
白龍はぼろぼろと涙をこぼした。
「はっ、白龍様!?」
「なんだよぉ、俺より強いのかよぉ。目が見えない関係ねぇじゃんかー!!」
突然の豹変ぶりにたじろく青蓮。
「はくりゅ……」
「うるさいばーかばーか!!どうせ鍛練している俺を鼻で笑ってたんだろう!!」
――やばい、イラッときた。
「俺だって頑張ってんのに、なんでお前がそんなに強いんだよぉ!!」
「白龍様!!」
突然あげた大声に驚く白龍。
「いいですか!?私は貧困街出身の者です!!生きていくためには強者と戦わなければならない時もあるのですよ!!で、ですからっ。私が強い……というのは、小さいころからやんちゃをしていたわけで……
私は白龍様が鍛練をしている時の、槍の振るっている音、大好きです!!」
感情が高ぶっているせいで、青蓮までもがポロポロと涙をこぼし始めた。
「っ、青蓮!?」
白龍は驚き、泣くのをピタリと止め、青蓮の顔を覗き込んだ。
綺麗な琥珀色の目から、綺麗な雫が零れ落ちる。
「な、泣くな……その、えっと……」
白龍はそっと青蓮からこぼれている雫を指で拭った。
「嫉妬したんだ。お前が、俺より、強い、から」
白龍はしどろもどろになりながら青蓮の頭を優しく撫でた。
「白龍様……?」
「嫉妬して、八つ当たりして。その……すまなかった」
青蓮はハッとして涙を引っ込めた。
「白龍様っ、その、こちらこそすいませんっ!!白龍様に、そのようなお言葉を言わせるなんて……従者失格です」
白龍は青蓮の顔をまた覗き込んだ。
青蓮の瞳からはもう雫はこぼれていなかった。
「従者失格……か。青蓮、一つ命令だ」
「はい」
「鍛練の相手になれ」
「――えぇ!?」
青蓮の叫びが白龍の部屋に響いた。