短編集)江戸見聞録
□鬼ごっこ
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「『は?高杉晋助?』」
「そうだ!分かったらさっさと起きやがれ総悟、なまえ!!この近くで目撃したと通報があったらしい」
『えー...今日非番...』
「ああ!?」
『すみませ〜ん...』
「チッなんでィ土方コノヤロー
折角の休憩台無しにするんじゃねェや」
「テメェはサボってんじゃねェ!早く起きやがれ!」
私は真選組の女隊士として働いている。
今日は非番だから丁度サボっていた沖田隊長とごろんと寝っ転がっていたところだった。
副長によると、高杉晋助の目撃情報が入ったから総出で行かなきゃいけないらしい。
もちろん、非番の私も。
『あーあ...今日は一日中寝てる予定だったのになぁ』
「ぐだぐだ言わないで早く行け!テメェ仮にも一番隊副長だろうが!」
『へいへい...』
「行くぜィなまえ」
沖田隊長は早々と支度を済ませていた。
私も副長に怒鳴られながら身支度を整える。
外に出てみると雨が降っていて暗かった。
視界が暗くて肌寒い。かなり悪条件だ。
『さっむ...。高杉コノヤローが目撃なんかされなきゃこんなことにならなかったのに...』
「おいなまえ!油断してんじゃねェ!!愚痴を零すな!」
『はいはい、分かってますよっと!!』
副長の合図で一斉に隊士が走り出す。
早く見つかれ高杉コノヤローと思いながら走り出す。
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