BLEACH

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私が手に入れたこの力は、黒崎君を守る為に。仲間のみんなを守る為、そういう風に使おうと思っていた。その気持ちは今も変わらない。
それでも今この状況、破面の人が言う「私の力」はきっと破壊の為に使うものだろう。
机に向かって皆への置手紙を書きながら先程あった事をゆっくりと思い返していく。静かな部屋にペンを走らせる音だけが響いて、酷く寒気がした。
嫌な寒気を振り払うように立ち上がりカーテンを開けて真っ暗な空を見上げる。一人だけに挨拶、というのも先程済ませてきた。

「向こうに行けば…花ノ宮さん、いるよね…」

せめて彼女だけでも尸魂界に帰れるように説得して、私の出来る限りの事をしよう。
きっとみんなの為に出来る最大の事はそれだけだから。


*


総隊長から行動禁止を命じられてから、ずっと考えている事がある。
俺には今何もする事が出来ない。きっと一護は一人でも井上を助けに行くだろう。アイツは絶対に裏切らないと信じているからだ。
だがそれに比べて俺はどうだ?音羽が連れていかれても隊の決まりや立場に縛られて何の行動も起こせていない。今だってじっと隊舎で指示が出るのを待つ事しか出来ない。
最近の酷い苛立ちのせいで隊舎にはもう隊員が殆どいなくなっている。粗方他の隊舎にでも出払っているのだろうが、いつもは感じない嫌な静けさに寒気がする。
少し前まではうるさい隊員が耳障りなほどの騒ぎを作って、そんで俺の隣にはアイツと吉良が、いつもいた。

「なに、してんだろうな…」

自分から行ったにしろ、あの破面ばかりの中で良い待遇を受けているとはとても思えない。
一護を見習う訳じゃない。それでも俺にはアイツを思って何かをする事が出来る筈だ。
立ち上がって隊舎を出て、向かう先は一つだ。



good bye.halcyon days.



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