雷門探偵事務所

□第1章 小さな探偵たち
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それ程大きくないが平和であるここ稲妻町。
前日、雨が降ったためさらに寒くなりはじめ、木には色づいてきた葉。
そんな町で事件が起きました。
現場に向かったのは警察ではありません。
そう。小さな探偵たちなのです。


「バス代が……」


「大丈夫ですよ。いつも通り役所から出るんですから。」


「そうだけどさ、すぐ貰えるわけじゃないでしょ。」


「まぁそうですけど…先月の分はしっかり管理して残っていますから。」


「なら、事件解決したらケーキ食べよう。」


「仕方がないですね。」


バス代を気にしなくてはいけない……程貧しい訳ではない
それは、彼らが運転できないから。
なぜ?だって彼らは……
おっと。現場に着いたようですよ。


「ここですよ。今回の空き巣の被害者のお宅は。」


「被害者・被害状況は?」


さすが探偵。現場にくれば、表情も引き締まるようで
先程、ケーキの話をしていたとは、思わせないぐらい。


「夫婦のふたり暮らしです。被害状況はまだ確認してません。」


「じゃあ、仕事開始しようか。」


ピンポーンとよくあるチャイムの音が響く。
中からは、「はーい」と女性の声が聞こえた。
ガチャンとドアが開き、声の女性は少し目線を下げた。


「あら。いらっしゃい。円堂夏未よ。中へ入って。寒いでしょう?」


「ありがとうございます。」


事件があると家の中にあがらせてもらうことは、多々あるが…
この家は、空き巣に入られた後だと言うのに、綺麗に整えられていた。
探偵たちは、リビングに通された。
キッチンとは、繋がっており、いかにもリビングという感じだ。
キッチンからは、いい匂いがする。
ひとつ気になった事と言えば、テレビの前に飾ってある写真ぐらいだ。
トロフィーを持っている少年を中心にチームで撮ったものだ。
探偵たちは、それ以外は、特に目に留めなかった。
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