弱虫ペダル
□他に欲しいものがある
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バレンタインデーである今日
王者である箱根学園自転車競技部の部員の元には大量の手作りお菓子が渡される
特に東堂や真波、新開に
そう、東堂や真波、新開の3人に
たまたま、最初に部室にやってきた荒北は、校門から部室までの道のりにいた女子たちに呆れかえっていた
荒北自身、袋1つ分は貰っているのだが…
「キャ〜!!!」
「東堂様〜!」
ドアや窓を閉め切っているにも関わらず、大音量で流れ込んでくる黄色い歓声
思わず舌打ちをした荒北は、今日朝練できんのか?と思いつつ、準備を始めたが、外から聞こえてきた声にピクリと反応した
「隼人くーん!!」
「これ貰って〜」
「キャ〜!」
新開とつきあっている荒北にとって、女子は敵だった
女子はそんなことも知らずに新開に近づく
新開も新開で隙がありすぎるのがキズだ
それが荒北にとっては、不安要素でしかなかった
しばらくして、やっと部室に入ることができた東堂と新開の手には、たくさんの袋から溢れ出そうになるほどの手作りお菓子を持っていた
「ムッ……新開もたくさん、貰っているな…」
「東堂ほどでもないさっ」
2人で盛り上がっていると「フンっ!身分が良いこと」と荒北が言い捨てると新開が慌て始めた
新開は制鞄から、ひとつの箱を取り出し、荒北に差し出した
「これやるよ」
「おこぼれなんかいらねェよ…!!」
荒北は新開を突き飛ばし、ちょうど部室に入ってきた福富に「先に朝練行ってくる」とボソッと言い捨て部室を出た
「新開もバカだね〜言葉が足りないって。ちゃんと、この美形な東堂のように伝えなくては!あぁ、巻ちゃん、今すぐ会いに行きたい」
「相変わらずで、冷静になる…それじゃあ、ちょっと、追いかけてくる」
「荒北なら、朝練のコースだ」
「サンキュ、寿一」
お決まりのバキューンポーズをし、新開は荒北の後を追った
果たして、バキューンポーズをする必要性はあったのか…
その荒北はというと、いつになく、ハイペースで走っていた
「ハァハァ……クソっ…」
朝練コースの折り返しに来たところだった
新開が追いついた
それでも、荒北はまだ進もうとするので、新開は荒北の前に出て、少し離れて、自転車から降りた
それで、観念したのか荒北も自転車から降りた
「これもらってくれよ」
「だから、おこぼれなんていらねェよ!」
「これは、俺からだよ」
新開は、荒北に無理矢理、箱を渡すと、荒北は、箱の軽さに驚いた
「なんか変なもんでも入ってねェか…?」
「入ってないよ。大丈夫だから、開けてみて」
箱のリボンをシュルシュルと解き、蓋を開けると中には、リングが入っていた
「このボケナスがァ…」
「卒業したら、結婚しよ。形だけでもいい。全部、俺にくれよ」
「仕方ねェからくれてやんよ…!」
その後の朝練は、リングをして終わらせたんだとか
→後書き