日常編

□標的5
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夏は嫌いだ。
身体が異常なせいで暑さに耐性が無い。そのためすぐにバテるし、熱中症になってしまうからだ。
でもまぁ身体がどうとか言う前に単に、暑いのが苦手だから夏が嫌いっていうのもあるんたけど。



『…それにしてもやっぱり、夕方に行くべきだったか…』



ジリジリと太陽がオレを刺す。
今オレは外を出歩いている。何故暑いのが嫌いな自分が外を出ているのか。
それは今読んでいる本の続編の発売日だったからだ。中々気になる終わり方をしやがったから、こんな炎天下の中歩いている。
今は…後悔してるけど。



『…暑い。喉渇いたな…』



ポツリと独り言を呟いたその時だった、後ろから自転車のベルが鳴り響いた。そんな道の真ん中に居るつもりなかったオレはつい後ろを向いてしまう。
いやまて、……ママチャリにゴーグルってどうなんだよ。しかも、ヘルメットも被っている。



『…………』
「よかったら、どーぞ」




暫し呆然としているとそのママチャリ女はオレの前で自転車を止め缶ジュースをこちらにポイと投げた。それを反射的にキャッチする。
変な人物はその後また直ぐに自転車に乗って去っていった。

ジッと缶ジュースを、見つめる。
いきなり知らない人物から貰った物など飲めるわけもなかったオレはそのジュースを後ろにポイっと投げ捨てた。


すると、背後からガッと変な声が聞こえたと共にドサっと何かが落ちる鈍い音が聞こえて振り向く



『……ワオ』



無意識に驚きの声が出る。いや、その光景を見れば誰だってそうなる。
ーーさっき貰ったコーラが落ちた衝撃で蓋が空いたのか中身が出ていたのだ。そこまではいい。それだけだったなら驚かない。問題はその中身だ。その中身は煙と共に毒々しい紫の液体がでており、隣にはさっき落ちたであろう烏が死んでいたのだ。こんな物、見せられた驚く。



『…受け取らなくて正解だな』



烏には悪いがよかったよかっと思いながらも、オレは帰路についた。




ーーーーーーーーーーーー




『おまえ樹液分泌でもしているのか…?』
「ん?」


さっさとクーラーでもつけて本を読もうと戻るとリボーンが顔面にカブトムシをつけて部屋に居た。
正直に言うとキモいぜそれ…


「驚かないのかおまえ。つまんねぇな」
『これでも驚いてるさ。』



顔にでないだけでな。
というか、赤ん坊が殺し屋やってるお前ならどんなことでも出来るだろ。ゆえに言うほど驚かない。


『で、お前は樹液分泌でもしてるのか?』
「いや。これは、オレの夏の子分たちだぞ。情報収集してくれるんだ。」


お前、虫の言葉でもわかんのかよ…。末恐ろしいガキだな。



「おかげで情報がつかめたぞ。ビアンキがこの町にきてる。」
『…またお前の仲間か』
「あぁ。昔の殺し屋仲間だ」



いい加減にしろよ。
厄介ごとを持ち込むなめんどくさいんだから。
はぁ…とため息をつく。




ーーー「イタリアンピザでーす」



リボーンとの会話にめんどくさくなり本を読もうとしたその直後、下からピザの宅配の人の声が聞こえてきた。
…ピザ?母さんが頼んだのか…?いや、でも今日母さんは昼間は居ないと言って居たしな…。と一人ごちに思いながらも階段を降りる。



『…お前…さっきの…!』
「お待たせしました。あさりピザのお届けでーす。…めしあがれ!」



下におりると玄関が開いており、そこにはピザの箱を持っているママチャリ女だった。
微量な殺気を感じてナイフを取り出し構えるが、女はガスマスクをつけてピザの箱を開けた。



『っ!!…これは、!』



ブシュウウと不気味な音をたててそれからでてきたの毒だった。
おそらくさっきの缶ジュースにもこの毒が入っていたのだろう。
…なるほど、最初からオレを殺すつもりだったわけか。そして、おそらくこいつがリボーンの言っていた殺し屋仲間だな。本当に面倒ごとばっか持ち込みやがって…!



『…っチ!』



これは…中々に苦しいな…。流石、殺し屋ってとこだな
でもーーー



『ーーオレには直ぐに死ない毒は効かない』
「な、なんで…!」
『こういう体質だからだ…!』



驚く女にニヤリと笑って距離を縮める。そしてそのまま合気道の技で女を倒しそのまま跨って動きを封じナイフを向ける。



「四季待てっ!そこまでだぞ!」
「リボーン…!!」
『…』



リボーンの登場にその女の殺気が薄れたとわかり、オレはそいつの上から降りる。
女はゆっくりと起き上がり涙ながらに語りはじめた。


「むかえにきたんだよ。また一緒に大きい仕事しよリボーン。…やっぱりあなたに平和な場所は似合わない。あなたのいるべきはもっと危険でスリリングな闇の世界なのよ」
「言ったはずだぞ、オレには四季を育てる仕事があるからムリだ」
「……かわいそーなリボーン。この10代目が不慮な事故かなにかで死なない限りリボーンは自由の身になれないってことだよね」



チラリと泣きながらオレを見る。
いや、この流れで一番かわいそーなのはオレだ。勝手な理由で殺されかけてんだ。しかも自由の身じゃないのもオレだよ。



「とりあえず帰るね。10代目をころ…10代目が死んじゃったらまたむかえにくる…」



そう言って女は玄関を出て行った。



『はぁ……。ったく、なんだったんだあの女』
「あいつは毒サソリ・ビアンキっていうフリーの殺し屋だ。あいつの得意技は毒入りの食い物を食わすポイズンクッキングだ」
『……食べ物をねぇ……。』



また、厄介なと思いながら、自室に戻ろうと階段を上る。



「…おい四季。」
『…なんだ、リボーン』
「おまえは何でビアンキの毒が効かねぇ」
『そういう体質なんだ。直ぐに死ぬような毒程度ならオレには効かない。それだけだ。』
「………」



じゃあな。その毒ピザ片付けとけよとリボーンに言い放ち、また階段を上がりはじめた。
そんなオレの後ろ姿をリボーンが、じっと見つめいたが気にしないでおく。









標的5
ビアンキ
(おい、お前なんでうちの家に居んだ…)(リボーンのお願いでね、私も家庭科と美術を教えることになったのよ。あと、貴女をどうやったら毒殺できるか試したくてね)(………)





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