日常編

□標的6
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「おい!沢田四季は居るか!!」


それは昼休みのことだったオレはいつも通り、っと言っても笹川達が勝手に一緒に食べようとしてるだけだが、まぁとりあえずお昼を食べている時だった。
教室のドアがバンッと無駄に大きな音を立てて開いたのだ。しかも、扉を開けた音の比じゃないくらいの大きな声でオレの名前を呼びながら…



『おい黒川、笹川。オレは居ないと…』
「お兄ちゃんっ!?」



伝えろと言葉を紡ごうとすると、笹川がオレのセリフを遮った。
…ちょっと待て、お兄ちゃん?本気で言っているのか?見た目全然似てないじゃないか。


『…黒川、こいつら血繋がってるのか?』
「何言ってん四季。あたりまでしょ。」



いや、だってお前ら似てなさすぎだろ…。


「おっ!京子じゃないかっ!!
…おぉ!お前だな沢田四季は!!」



見つかってしまった。あきらかにめんどくさそうなやつに見つかってしまった。頼むからやめろ、めんどくさい。クラスの視線がこっちに集まってるだろ。
こっちにくるな


『…………』
「どうして、お兄ちゃんがここに…?」
「いやな、沢田四季をボクシング部に勧誘しにきたのだっ!!」



ドーンっと効果音が聞こえる。
…いやそれにしてもまて、何でそうなったんだ。
お前と関わったことないぞ。しかも笹川に兄が居るってことも始めて知ったばっかりだ。



「もー!お兄ちゃん四季ちゃんに迷惑かけないでっ!」
「相変わらずだねー、京子のお兄さんは」
「四季ちゃん、お兄ちゃんのことは気にしないでね!」
『…あ、あぁ。』
「そういや、まだ自己紹介をしていなかったな。オレはボクシング部主将笹川了平だ!!!座右の銘は【極限】!!」



熱いし、声でかいよお前…。笹川だって恥ずかしいから大きな声ださないで!って、怒ってるじゃないか。黒川は呆れて何も言わない。



「京子からもお前の活躍を聞いてるぞ!是非、ボクシング部に来い!」
「お兄ちゃんっ!四季ちゃんを、無理やり誘わないでっ!」
「ムリヤリではない!!……だろ?沢田」


いやそこでオレに同意を求めるなよ…。おかしいだろ


『お前のその話は断る』
「な、なにぃ!!」
『オレはめんどくさいことが嫌いなんだ。あと、ボクシングに興味がない』
「ぬぐぐぐぐ…!」


ーーだから断る。とさらに続ければ笹川兄はそうか…と言って拳を握りしめて震えていた。これで諦めてくれたか…


「だが!オレだってそんな簡単に諦められない!!…沢田!!」
『……』


おいおい、諦めたんじゃなかったのかよ…。話が通じないレベルじゃないぞこいつ…。



「沢田!俺と勝負しろ!それで、俺が勝てばボクシングに入れ!!」


では、放課後にジムで待つ!! と言って颯爽と教室をでていってしまった。まさに嵐が去った後だ。
というか、なんかこの展開前にもなかったか…?



「…ご、ごめんね、四季ちゃん…!お兄ちゃんが!」
『全くだ…。』
「私がちゃんと言い聞かせておくから、行かなくてもいいよ!」
『…いや、行く。』
「へぇー、あんたにしては珍しいじゃない。」
『…まぁな』


あいつ確実にどっかの誰かみたいに今日行かなければ毎日のように付きまとって来そうなタイプだ。
だったら、めんどうごとの種はさっさと摘んで置いた方が楽だろ。
なんて考えつつ、オレは中断してい弁当を心配そうな顔をしている笹川を横にまた食べ始めたのだった。






ーーーーーーーーーーー




『で、なんでお前も居るんだリボーン』



めんどくさいが約束通りにジムに行くと笹川兄となぜかリボーン、山本、獄寺、笹川が居た。
リボーンにいたっては象の被り物にボクサー姿をしている。
なんだそのふざけた格好は。


「お前の評判をききつけてタイから来たらしいぞ!名はパオパオ老師だ」


笹川兄の紹介にパオーンと妙な鳴き声を出すリボーン。
…設定ごりごりだなお前。



『御託はいい。さっさと始めよう。オレはすぐに家に帰りたいんだ。』
「ほう!その自信!楽しみだっ!
だが、お前ボクシングは始めてなんだろ?」
『やったことは無いな。』
「ならば、俺に触れれば勝ちとしよう!」
『…お前それでいいのか?』



その条件だとオレの勝ちだ。
条件なんてなくても勝てるけれど。


「あぁ!構わん!!」
『……』


そう言ってリングにあがり、笹川は
メットとグローブをつける。


「負けんなよ、四季!」
「10代目ーーー!」
「四季ちゃん無理しないでねっ!」



笹川以外の外野オレと変わってくれ。


「どうした沢田!メットとグローブつけろ!」
『オレは…着けない。』
「バカにしてるのかっ!!」
『…してないよ。これがオレ流なんでね』


そう言うと笹川兄は渋々にだが、そうかと身を引いた。
そのあと直ぐに試合の鐘がカーンと鳴る。
…それなりにパンチは早いな。ボクシング部主将なだけはあると思いながら軽々く除ける。


「どうした、沢田!!攻撃してこないのか!!」
『………』


笹川兄の攻撃をよけているとふとリボーンが目に入る。
おい、何で銃構えてるんだお前。
…撃つ気か!
と思った束の間リボーンは一発銃を撃った。それは真っ直ぐとオレにではなく笹川兄に向かっていき、そしてそのまま額を貫いた。


『…お前、どういうつもりだリボーン。』
「このままだと、お前が直ぐに勝っちまって面白くないからな。」
『だからって銃をぶっ放す意味がオレにはわからないんだ』
「まぁ、見てろ」


ニッと口角を少し上げて笑みをつくる。ああ、この笑みはまたろくでもないことだなと悟る。
撃たれた筈の笹川兄は、むくりと立ち上がった。ただ、額には火が灯っていた。


『…おいリボーン。あれはなんだ。』
「あれは死ぬ気モード。撃った弾はボンゴレファミリーに伝わる秘弾だ。死ぬ気になる内容は死んだ時後悔したことだ」



なるほど…。
つまり、後悔することがなかったら死ぬわけだ。どうりでオレには撃たないわけだ。生に執着しないオレになんか撃てば呆気なく死ぬから。



「どーした沢田!かかってこないのか!?」


また、パンチを繰り出してくる笹川兄。
…!さっきより早くなってる…。なるほど、死ぬ気弾とかいう効果か…。でもーーー


『終わりだ』


そうつぶやき笹川兄の側面から斜めに回り込んで上体を反らせる。ーー
そしてそのまま腕を掴み上げリングに投げつた。ドンっという音がジムに響く。



「……す、すげー。殺し屋なみのラッシュをあんな簡単に避けれるなんて…!」
「ほんと、四季には驚かされるのな…」
「す、すごい!四季ちゃん!」



獄寺と山本は冷や汗をかきながら、笹川は目をキラキラさせながらこちらをみている。
オレは下で伸びている笹川兄に視線を向ける。


『オレが勝ったんだ、これ以上勧誘はやめろ。わかったな』
「やはり!お前のその身体能力はプラチナムだ!!本当に惜しいっ!!」
「お兄ちゃんすごい嬉しそう…」




笹川兄がそういった声色には明らかに諦めている要素がなかった。
あぁ、…また厄介な奴があらわれた










標的6
笹川了平
(オレも気に入ったぞ笹川了平。おまえファミリーに入らねーか?)
(おまえは、逆スカウトをするな…)

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