日常編

□標的8
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夏休みも終わり九月始め。
オレも始業式までにはギリギリ熱を下げることに成功し、登校することができた。
そんな始業式から数日、まだ本調子では無いがオレの体調は着々と戻り始めている。



『…暑い。これは秋の気温じゃない』
「ははっ!確かにな!」
「そうっすねー…。でも秋に近づくにつれてアホ牛がブドウブドウって最近ウザくねースか?」



確かに…と心の中で獄寺に同意する。あの牛最近うるさい。
どれだけブドウが好きなんだ。

ちなみにどうでもいい話だが、今日は笹川達が事情があってお昼を食べれないと言っていたのでこの二人と食べることになった。
まぁ、一人で居るところを山本に半ば引きづられるように連れて来られたのだが。



「栗もうまいぞ」


そんなセリフと共に後ろから毬栗を投げてくるリボーン。
オレは軽くそれを避ける。


『…危ないだ…ろ……お前…何だその格好』
「ちゃおっス」



忌々しげに後ろを向くとそこには毬栗のコスプレをしながら元気良く挨拶をするリボーンが立っていた。それは偉く本格的なようで先っぽはチクチクとしている。…危ないな


「これは、秋の隠密用カモフラージュスーツだ。」
『100人が100人振り返るぞ、それ』



こいつ本当は絶対に馬鹿だろ。
というか、何故学校に居るんだ



「四季。ファミリのーアジトを作るぞ」


リボーンはオレの心を読み取ったのかそれに答えるように、意味のわからないことを言い出したのだった。
…頼むからめんどくさいことを持ち込むな。



「へー!面白そうなだな、秘密基地か!」
「子供かおめーは!でも、アジトといーじゃないスか!ファミリーにアジトは絶対必要っスよ!」
「決まりだな!」



決まりだな。じゃない。勝手に話を進めるな。だいたいアジトとか言ってる時点で子供だ馬鹿。



「で、どこに作るんだ?裏山か?」
「なわけねーだろ!」
「学校の応接室だ。
応接室はほとんど使われてねーんだ。家具も見晴らしもいいし立地条件は最高たぞ」
『…まて、リボーン。応接室はお前……』



めんどくさいからやめろと言葉を続けようとして急激な眠気に襲われる。
…なんだ、これ



「悪りぃな、四季。お前の弁当に薬を盛っといたんだ。吹き矢だとお前避けるからな」
『…おまえ…これが目的だったのか………』
「てへぺろ、だぞ」



可愛くもないリボーンのてへぺろ顏を最後にオレの意識は遠のいていった。
とりあえずリボーンおまえは一度死んでくれ。





ーーーーーーーーーーー



「おいっ四季!?」
「10代目!?」


リボーンの思惑など知らずにドサっと倒れた四季に慌てて駆け寄る山本と獄寺。


「安心しろ、四季は寝てるだけだぞ。山本おまえ四季を背負え」
「お、おぉ」
「なっ!リボーンさん!10代目はオレが背負います!」
「山本の方が身長的にもガタイ的もお前よりしっかりしてるからな、その意見は却下だ」
「…ぐっ!……おい、山本絶対に10代目を落とすなよ!」
「ははっ!わかってるのなー!」


獄寺はリボーンのセリフに意義を立てるがあっさりとその意見は却下される。リボーンが言ったことにこれ以上反論ができるわけもない獄寺は悔しそうに山本に託すことにした。

山本は軽く笑ながらも四季を背負う。そして顔には出さなかったが背負ったその直後に驚いた。
それはあまりにも体重が軽かったからだ。女子だからと言う理由を除いても断然に体重が軽かったのだ。
だが、今日の様子を見ていても言うほど少食でもないとわかった。なのに、なぜこんなにも体重が軽いのか…と山本は疑問に思ったが今は考えても仕方ないと首を軽く少し振ってまたいつもの調子で喋り出すのだった。





ーーーーーーーーーーーー




応接室につき獄寺と山本はガチャリとドアを開け室内に入る。このときリボーンの姿はすでに無かった。二人はそのまま気づかずに応接室特有の座り心地の良さそうなソファーに目を向ける。


「よっ」


山本はソファーのそばによると今だ寝たままの四季の体を横たわらせる。
そしてそのまま様子を伺うようにして二人は四季の顏を覗き込もうとしたーーそのときだった。



「君たちだれ?」




先ほど自分たちが入ってきた扉からガチャリと音がして黒髪の少年が入って来たのだ。最初は誰かとわからなかった山本だったが、それはつかの間、その人物を直ぐに思い出す。



「(こいつは、風紀委員長でありながら不良の頂点に君臨するヒバリこと雲雀恭弥…!!)」
「なんだあいつ?」
「獄寺待て…」



転校してきた獄寺がそんな人物を知るはずもなく、眉間に皺をよせて目の前にいる人物ーー雲雀にガンをとばしていた。
山本はそれに冷や汗を流しながらも、獄寺に制止をかけるがそれももう遅かった。いや、そもそも、この応接室に踏み込んだ時点で手遅れだったのだが。



「風紀委員長の前ではタバコ消してくれる?…ま、どちらにせよただでは帰さないけど」
「!!!んだと、てめー!」



雲雀の挑発的な態度にもともと短気な獄寺はあっさりと切れてしまいう。そしてそのまま、前にいた山本を押し切り雲雀に突っかかる。



「消せ」
「っ!なんだこいつ!!」
「(聞いたことがある……ヒバリは気に入らねー奴がいると相手が誰だろうと仕込みトンファーでめった打ちにするって…)」



だが、前に出てくる否や雲雀は一瞬にして獄寺が吸っていたタバコをトンファーでぶっ飛ばした。
急な動きと殺気に危険だとわかったのか獄寺は一歩そのまますぐに下がる。山本はその様子を見て顏を青ざめていた。



「僕は弱くて弱くて群れる草食動物が嫌いだ。視界に入るとーー咬み殺したくなる」
「(こいつ…!)」
「(やっかいなのにつかまったぞ…)」



そのセリフと共に、もともと鋭い雲雀の目がいっそ鋭くなる。瞳はすでに獲物を見つけた肉食動物の瞳をしていた。
獄寺はその姿にゾッとする感覚に襲われ、山本はこの状況をどう打破するかを考えていたのだった。










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