日常編

□標的9
1ページ/1ページ










「極限必勝!!
これが明日の体育祭での我々A組のスローガンだ!!勝たなければ意味はない!!」



あぁ、体育祭ってだけでめんどくさいのに縦割りの制度で、さらにめんどくさい男と一緒になってしまった。オレの横に座る京子は心配そうな顔で実の兄の笹川を見ている。
ーー余談だがオレが笹川を京子と呼んでいるのは、今まさに体育祭で熱くなっている笹川了平との呼び方を区別をつけるためだ。決して深い意味はない。



「うぜーっスよねあのボクシング野郎。フツーにしゃべれっての」
「まーまー」


獄寺に同意だな。うざいし、暑いし、煩い。そーいやぁ、こんなテニスプレーヤーいたな確か。
こいつの影響かクラスの生徒達も煩く盛り上がっている。



「今年も組の勝敗をにぎるのはやは
り棒倒しだ」
「ボータオシ?」
『…男子がでる種目の一つだ。まぁ、どうせ腕力のある2、3年の引き立て役だがな』


そういやこいつイタリアから来たから棒倒しを知らないのか。と思いながら軽く獄寺に説明をする。



「例年組の代表を棒倒しの《総大将》にするならわしだ。つまりオレがやるべきだ。だが、オレは辞退する!!!」



そのセリフに1年から3年の生徒全員が驚きの声をあげた。
…これ、帰っていいか?居る必要性は無いだろ。第一オレは当日はサボる予定だしな。


「俺は大将であるより兵士として戦いたいんだー!!」


それ単なるわがままだぜ笹川。
この教室に居る生徒全員がそう思ってるだろうな。
というか、大丈夫なのかこのチーム。…チラリと目だけで京子を見ると恥ずかしいのか顔を赤らめいた。
可哀想に…。こんな、兄をもつと苦労するわな


「だが心配はいらん!オレより総大将にふさわしい奴を用意してある!」
「え?」
「笹川以上に総大将にふさわしい奴だって??」


そんなやつ居るか?とざわざわとまた教室は騒がしくなる。


『おい獄寺。オレはーー』
「1のA沢田四季だ!!」
『…あ?』


帰る。と言葉を続けようとしたそのとき、笹川の声に遮られた。
…というか、何言ってんだおまえは。クラスの皆困ってるじゃないか



「10代目のすごさをわかってんじゃねーかボクシング野郎!」
『…おい、待て。お前らも煽るな馬鹿。』
「賛成の者は手をあげてくれ!過半数で決定とする!!」


「1年には無理だろ…ていうか女じゃねぇか」
「反対反対」
「負けたくないもんねぇ」
「つーか、冗談だろ?」



笹川の言葉に他の奴らは反対の意見をあげる。
いや、そりゃそうだろ。一年生って以前にオレは女だ、参加できる訳ない。


『…当たり前だ、諦めろ笹川』
「手をあげんか!!」
「ウチのクラスの奴をなんていねーよな」
「おいっ、獄寺おまえ」


強制させんな、笹川、獄寺。
本当に辞めてくれ。

…おいおい、ちょっとまて……嘘だろ。
周りを見れば、二人の気迫にやられてしまったのかそーっと手を上げている奴らがいた。女子は獄寺が挙げているからという理由で挙げている。



「この勢いならいずれ過半数だろう!決定!!棒倒し大将は沢田四季だ!!」



こいつめちゃくちゃだ。
…オレは喋るのもしんどくなってきた。…サボる予定だったのに。この勢いだとサボったら家にまで押しかけてくるなこいつ。



「本当にごめんさない、四季ちゃん…」
『…お前が謝る必要は無いだろ。』
「にしても、すげーな四季!」
「さすがっスね」
「ビビったッス」
『…超不自然だぜ、お前』



さらりと会話に入ってくるリボーン。いつもかぶっている帽子をとり、並中の制服を着ていた。…なんだ、お前それで紛れ込んでるつもりか。



「ちゃおっス。総大将つったらボスだな。無理しない程度に頑張って、勝てよ。」





おい、ふざけんなよ本当に。








ーーーーーーーーーーーー




なんでこうなったんだ。
あぁ、本当にめんどくさい。
…思ってたより高いしなここ。


ーー今オレは胡座をかきながら棒の上に座っていた。
あの後結局総大将はオレだと押し切られてしまい今現在に至る。時とは残酷なもので嫌だといってもとうとうこの日を迎えてしまったのだ。


しかも、リボーンの余計なおかげでB、C組は合同してしまい、なおかつそこの総大将は先日オレと戦ったあの雲雀だという。

今だに乗り気ではないけど、京子が折角鉢巻に名前を刺繍してくれたしな…。
それに相手があの雲雀だ。そのことに関してはそれなり、楽しめるだろ。


「それでは、棒倒しを開始します。位置についてください。
用意開始!!!」


先生の開始合図で両者駆け出す。
おーお、凄まじいな…。と棒の上に立ちながら下を見ていた。
当たり前だが、圧倒的に人数不足なA組は押されて居る。
オレは登って来た奴らを軽くあしらいながらそれを傍観する。
やる気はないけど、落ちる気はさらさらない。痛いのは嫌だしな。



「大丈夫ッスか10代目!!?」



お前が大丈夫か獄寺。
凄い蹴られてるぜ。
山本も青褪めながら、頭数が違いすぎると焦っている。
……あ、棒が傾いた


『…めんどくさいな。
……おい!獄寺、山本、笹川!総大将はとりあえず地に足をつけなければいいていったな…!』
「!なるほど」
「そういうことなら」
「こっちだ四季!」



問いかけに気づいたのか3人は騎馬をつくる。
オレはうまくそこに着地するように今現在棒の上から落ちている体を回転させた。



「なに!?騎馬だと!!」
『…いくぞ。オレは雑魚には興味ないんだ。』



目の前に殺りあいがいがある奴がいるんだ、そこらへんの奴に構ってる暇は無い。
ニヤリと口角が上がるのがわかる。



「おい、芝生メット!てめー今足引っ掛けたろ!」
「ふざけるなタコ!人の足を蹴っておきながら!」
「んだとコノヤロー!」
「ちょっ、獄寺!笹川先輩!」



ほんとに、犬猿の中だなおまえら…こんなときまで喧嘩するなよ。…おそらくこの調子だと騎馬が崩れるな。
ーーーーなら、



『頭借りるぞ』



崩れる前に獄寺と、笹川の頭を使ってそのまま他の奴らの頭を踏みつけていく。
そして目的の前まででくると、大きく棒の上まで飛躍する。そこには目的の人物が楽しそうな顔で待っていた。




ーー『よぉ、雲雀恭弥。またせたか?』
ーー「やぁ、沢田四季。いや、言うほど待ってないさ。」



雲雀とオレはお互いに笑みを浮かべ、それを合図にトンファーとナイフをぶつかり合わせた。



「君こんなときまでナイフ持ってるんだね」
『まぁな。言っただろオレはナイフ(こいつ)を手放せないって…なっ!』
「!!」


ワオと、驚くのも気にせず
とりあえず、雲雀を落とす為棒に蹴りを入れて破壊する。
はじめは驚いてた雲雀だが、すぐに態勢を立て直し生徒の頭を踏んでまた飛躍する。
オレも同じくして、生徒の頭を踏んづけもう一度飛躍する。



「あ、ありえねぇ!なんだあの二人!?」
「空中でバトルしてる!!」
「てか、沢田、雲雀さんと互角に殺りあってんじゃん!あいつ何者だよ!!」



生徒達もさっきまで乱闘していたが、いつの間にかそれも終わっていた。ザワザワしながらもこちらを驚きながらジッと見ている。

…にしても空中戦はなかなかやっかいだな。これ以上目立つのもめんどくさい。



「ワオ、沢田四季。考えごとかい?」
『…まぁな。空中戦は不向きみたいでな。さっさと終わらせる方法を考えてたんだ』
「ふーん。なんだやっと負ける気にでもなったのかい?」
『いや、その逆だ…!』



決着をつけるにはこいつを地面に先に落とせば言い訳だ。


ーーーーだったら!



『こうするまでだ!』
「!…っな!」



ナイフをしまい、グッと雲雀の腕を掴む。そのまま掴んだ腕を軸に体をぐるりと回して更に上へと飛ぶ。
そしてそのまま上から、驚いてるそいつに蹴り落とした。
結構な勢いで蹴っていたのか下からドンっと鈍い音が聞こえた。
その音を聞きながらオレもバランスを取りながら地面に着地する。



『……今回はオレの勝ちだな、雲雀。』
「っ………次は僕が勝つ」



倒れてる雲雀の顔を覗き込みながらニッと笑いそういう。
雲雀はムスッとした顔で言葉を返し、ささっと起き上がって去って行った。



ーーそして
その直後試合終了のホイッスルが鳴りA組の勝利となって騒がしかった体育祭は終わりをつけだ。









標的9
棒倒し
(10代目、さすがっス!)(ほんとに、四季には驚かされるのなー!)(お前のいてくれて極限に良かった!感謝するぞ!)(…そりゃどうも)




.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ