華の乱
□美女にも地獄《未完》
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【玲鳴side】
「鬼灯様の連絡先で間違いないでしょうか?」
まぁ、間違えようのないバリトンボイスが響いているんやけども。
「そうです、鬼灯です。」
「いろいろとご迷惑おかけしますが、地獄に行かせていただきます」
「それは良かった。」
ホッと息を吐く音が聞こえた。鬼灯様、安心してらっしゃる。
「明日にお迎えにあがります。閻魔大王から姫のごとくおもてなしせよとのお達しですので。」
「や、姫ちゃうし、全然そんなん…」
「こちらがそうしたいと申しているのです。お受けください」
「は、はい」
「では、明日の朝、お迎えにあがります。」
「あ!あの…」
「なにか」
意を決して言う。いける!ウチ!頑張れ!ウチ!
「実は、明後日天界最大規模のパーティーがございまして…」
「白澤と向かわれるのですね?」
「あ…」
話が早い。けどなんか怖い。
「どうぞ行ってらっしゃいませ。お戻りをお待ちしておりますから」
「どうも…」
「あなた様は天界の神獣です。用事は専ら桃源郷にあると心得ております。」
「あ、ありがとうございます…」
「白澤と、というのが気に入りませんがね」
「なんかすみません」
いえ、と小さく返事した鬼灯様と終話して、部屋を纏めようと急ぐ。
もともと物はあまり置かない主義で、執筆も全てPCで済ませている。少しの書類と家具を小綺麗に纏めて、ソファーに鬱伏した。
「白澤の唇…、優しかったな…」
最初で最後の口づけかもと思ったら、なんか悲しくなってきた。
「は、…白澤のアホ…」
忘れられへんやん…
そのまま、泣きながら寝てしまうとは思ってなかった。