華の乱
□獄卒最強(凶)の乙女心 《未完》
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「玲鳴さん…」
携帯が床に落ちて、だらんっとなだれている手を布団に直す鬼灯。その触れた手も熱くなっている。
「玲鳴さん…」
「さむ…い…」
「え、寒いですか」
40℃の熱も出れば悪寒がする。寒くて寒くて仕方のない玲鳴は震えていた。
「大丈夫ですか、まず薬と水分補給を…」
片膝にもたれさせて起きあがらせ、薬を飲ませる。
「す、すみませ…」
「何も話さなくて良いです。ゆっくり寝てください」
鬼灯は、赤い顔を縦に振る玲鳴を見て安心する。
そして昨日の自分を呪った。
白澤の元へ向かった玲鳴が、帰り道雨に降られたのに自分は不喜処や叫喚やらを回って忙しくしていた。
「寒い思いをさせましたね。」
ギュッと抱きしめてその温もりを確かめる。すると、玲鳴がギュッと抱きしめ返した。
カッチーーーーン!!と固まる鬼灯。いつでも玲鳴は鬼灯に甘えないのに、今日は珍しい。
「どうしました?」
うなされて朧気な玲鳴に問う。
「あったかい…。鬼灯様…良い匂い…」
よっしゃ!!!と心の中でガッツポーズする。
「仕方ありませんね。眠るまで側にいますから。安心なさい。いい子です」
耳元でそっと囁くと、破壊的なほど可愛い笑みを喰らわせた玲鳴。
「ありがとうごじゃいましゅ…、ほおじゅきしゃま…」
呂律の回らぬ玲鳴をさらに抱きしめて、鬼灯はこの可愛い可愛い玲鳴を離すまいと誓った。
「素面で語ってくれたらすぐにでも連れ去るのに…」