華の乱
□それでもいいから振り向いて
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「鹿島くーん」
「「??」」
振り向いたら、「あ、こっちの鹿島くん」と言われた。はいはい、私じゃなくてこっちなのね。
私は鹿島玲鳴。双子の妹。姉の、?兄の?いや、姉の遊と顔は全く持って同じ。
ただ、モテる対象は違った。
遊は女子から、私は男子から。
そんなこんなで遊は私と居るときは男役に徹する。
そんな男性的なセンスを持つ彼女を羨ましく思うときもある。
「あ、玲鳴ちゃん、鹿島見なかったか?」
一つ上の堀先輩。
演劇部の部長で、遊を可愛がってくれている。いろんな意味で。
「遊ならクラスの子に連れて行かれちゃいました。」
「またかあいつ…。」
「引き留めれなくてすみません」
「や、玲鳴ちゃんの所為じゃないから」
「すみません。」
「良いって///」
少し俯いて耳を赤くする堀先輩。
知ってるよ。堀先輩、遊の顔大好きだもんね。
つか、遊のこと大好きだもんね。
顔の同じな私に揺らいでんじゃないわよ!なーんて口が裂けても言えず、むしろ良い機会だから見つめてしまおう、なんて魂胆丸出し。
そんな私は美術部で千代と共に野崎君のアシスタントをしている。
なんでもお手伝いできるんだけど、八割コスプレしてポージング。
慣れたけども。
たまに堀先輩と会うのが嬉しくて、野崎君の家に長居してしまう。
「あ、新しい舞台。鹿島が王子役でさ、出るんだ!」
あぁ、なんて嬉しそうな顔をするんだ全く。
可愛い///…なんて悶えて腹が捩れても言えない。
「見に来てくれよな」
そう言って走り去る堀先輩。
私と同じくらいの身長でテテテテっと走っていく様は……
「玲鳴、鼻血出てるよ」←通りすがりの千代
鼻血が出るほど可愛かった。