華の乱

□気づくまでの距離
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「頼みの綱は先輩だけなんで」
「背景なら今日は忙しいって言ったろ?何なんだよ」





そういう背景でなく、俺の背景なんですが、堀先輩。








「あ、あの。」




お茶を出してくつろいでもらう。





「多岐藤のことで相談が」
「やっとつき合ったのか」
「え、違いますけど…」
「ち、違うのか?」
「はい。や、多岐藤への想いがどうなのか教えてほしくて」
「俺で良いのかわかんねーケドな」






そうして、斯く斯く然々を話していく。




「それで、鹿島とか佐倉とか御子柴に聞いてみたんですけど」
「うん」
「特に御子柴、あいつが多岐藤を貰うとか言った瞬間すげー嫌で、ダメだって言っちゃったんです」
「独占欲だな」
「ど、どくせ…ん?」
「そ、独占欲。俺のもの、俺だけのもの、俺以外はダメ、という感情論だ。」
「俺のもの…?」






多岐藤が俺のもの…。
まぁ、ある意味俺のものだけど、違うのかな…




「よし、質問するから答えろ。」
「はい、」





堀先輩は前髪を掻き上げて、1つ。と呟いた。







「何故か多岐藤の言動が気になる。」
「はい」
「クラスでも多岐藤を目だけで追いかけたりする」
「そこそこは」
「頭の中が、多岐藤でいっぱいになる」
「今がそうです」
「もし多岐藤がほかの男に虐められて泣いていたら」






!!それはいかん。





「すぐに駆けつけてそいつらぶん殴って多岐藤を奪還しつれて帰ります」






堀先輩は少し固まってから一息ついてこう言った。




「診断結果聞きますか」
「はい」
「お前はド変態且つ恋している。」





以上!とだけ言って出て行った堀先輩。
入れ違いで、なんと多岐藤が入ってきた。





「あ、梅ちゃん。夜のご飯のお買い物してきたよ?」




小首を傾げてにこっと笑う多岐藤。





あ、俺。この笑顔好きだ。
多岐藤の笑顔、すっごい好きだ。




そう気づくとたってもいられず、笑いながらこう言った。
























「なぁ、俺、お前のこと好きだわ、」



















そう気づいた、冬の思い出。



fin………
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