華の乱

□リスキーゲーム
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「おい西川。」
「んだよ八軒」
「や、多岐藤が泣きながらどっかに行ったってみんな言ってんだけど?」
「泣きながら?」






そういえば居ないな、と西川は辺りを見回した。



「わりぃ、ちょっくら探してくるわ」






そう言い残し、校内へ探しに向かう西川だった。






























































「お、見つけた」




校舎の一番奥の階段で座り込んでいる玲鳴。西川は靴音を鳴らしながら近づく。




「こないで!」
「はぁ?」




西川だと気づいた玲鳴は来るなと叫ぶ。思わず破顔する西川。





「何が来ないでだよ、ったく。心配かけさせんな」
「心配させるような事してませんけど?」
「してるよ」
「何よ」
「泣いてる」
「は……」





後ろ頭を掻きながらやれやれ、といった感じで近づく西川。
泣き腫らした目を西川に向ける玲鳴。





「あのな、泣かれると困る」
「なんd…」





最後まで言わずに言葉を詰まらせる玲鳴。というより言わせてもらえなかった。



今、現在、西川に抱きしめられている。





「泣かれると、ずっと我慢してたのにこうやって触れたくなる。」
「………」
「なぁ、玲鳴」
「!!!っ、なに…」
「何で泣いてた?」
「……………、わかんない。ただ、」
「ただ?」





よしよし、と頭を撫で、背中をトントン叩く西川。



「西川君が……、他の女の子のツボを押さえてるのを見て……、何でかわからないけど…、辛くなっちゃって……」
「そっか」





そう言って、西川は玲鳴の肩をグイッと掴んで真向かいに置いた。
気まずくて目をそらす玲鳴。




「要は、嫉妬したんだ」
「し、しっ………と?」
「そ、嫉妬」






そう言って頭を撫で撫でする西川。







「言っとくけど、俺ゲーマーだから百戦錬磨とか訳わかんないこと言われてるけど、玲鳴、お前のこととなると違うんだよ」
「へ?」
「他の女とは違う。どうやったらこっちを見るか、こっちに気づくか、どうしたら笑うか、結構策を練ってんだよ」
「え、それって」
「どんなやつより、どんなキャラより、本気にならなきゃお前を落とせないんだよ、玲鳴」
「………、」
「好きなんだ」












顎をクイッと指で上げ、優しく口付けする。






「他の女に嫉妬してねーで、俺だけを見とけよ。俺は周りに手を出して最高のイベントスチルを落とすほどリスクは背負わねーよ。」
「うん」
「そんなお前は、俺のこと好きなのか」
「…………………………………、///…好きだよ」
「は?聞こえねー」
「す、好きなの!」
「ハハハッ、かわいい奴。玲鳴はそうやって俺に振り回されとけばいい。」






そしてもう一度ギュッと抱きしめて玲鳴の耳元でこう言う。











「俺だけのお姫様、一生離さねえから」











fin...
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