華の乱
□美女にも地獄《未完》
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「おいこら白澤!誰に向かって隣歩け言うとんねん!」
「お願いだよ玲鳴ちゃん…」
こちら桃源郷は、うさぎ漢方 極楽満月。
漢方の権威と言われる神獣・白澤を罵倒する絶世の美女は桃源郷で小説家として名高い神獣・玲鳴。
「ほら、僕と玲鳴ちゃんの間柄じゃない?お願い!」
「ありえへん…」
そう言って背を向けて出て行く玲鳴。只でさえ締め切り間近でイライラしている。その上白澤の突拍子もない依頼に怒り爆発だ。
「ちょ!ちょっと!玲鳴ちゃん!お願い!僕も玲鳴ちゃんの言うこと聞くから!」
「ほう…」
歩みを止めた玲鳴にホッとする白澤。ニィっと笑いながら玲鳴は振り向いてこう言った。
「じゃあ、アンタをモデルに話を書かせてくれるか?」
「ぼ、僕を?」
「遊び呆けて駄目神獣(に成り下がった)・白澤が、恋をして一途になる話。だから、今日から遊ぶの無しね」
「や、そ、それは」
「やないとアンタの願いは聞かへん」
白澤は苦渋の決断を迫られた。
天界で一番のパーティーに行けなければならないのだが、それにはツレが要る。そのツレ役を玲鳴に頼んだ白澤。
引き換えに遊びを我慢させられ、且つ玲鳴の理想にならなければならない。
「ここって嫌なことがないハッピーだらけの桃源郷だよね」
「なんか言うた?」
「なんか地獄みたい」
「……、じゃあウチを誘わんといてよ白澤のアホ」
「や、玲鳴ちゃんじゃなきゃ駄目なんだよ。知識も教養も備わってて可愛いの玲鳴ちゃんだけなんだから」
「……………………、でも条件は変えられへん」
そういって立ち去る玲鳴。俯いた目からは一筋の涙。
「思わせぶりな態度ばっかりや…」