ツェペリの金うさぎ

□プロローグ
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パシャッパシャッ…
  パシャッパシャッ…


一拍遅れて重なる水音

シーザーの前をゆく、うさぎは石畳の上にできた浅い水たまりを跳ねながら進む


(……なんで濡れてないんだ?!)



淡い光を放っているように見えるせいで気付かなかったが、体毛はふわふわで湿っている感じは全然しない

このコニーッリョ…普通じゃあない

そう思った矢先うさぎはスピードを上げて角を曲がった。
引き離されないようにと、角を曲がった瞬間俺は目を見開く


「なっ?!」


そこには、ウサギではなく子供が倒れていたのだ。
長い髪をみるに女の子だとはわかるがやせ細っていてとても弱々しい

あわてて駆け寄るとビクッと過剰に反応してうなされたようにつぶやいた


「ま、まーど…れ」


「おい!大丈夫か?」


発せられたイタリア語に少しホッとしながら薄汚れた毛布にくるまれた少女を抱き抱える
驚いたことに少女は高熱を出しているうえに体や顔の所々にすり傷や切り傷がある
毛布の内側には滲んだ血がついていて、血が混ざった水たまりは濁った赤褐色になっていた

とっさに、手のひらで波紋を練り腕や足の傷口にかざして止血をした
粗末なワンピースに包まれた体の部分までは触れることはためらわれたが…

最後に顔を治すために髪の毛を払ってやると少女はゆっくりとまぶたを上げた
少女は熱が出ているにも関わらず青白い肌に長いまつげに縁どられたエメラルドグリーンの瞳、整った顔立ちの良さに思わず息を飲んだとき

少女の顔はまるで、世にも恐ろしいものを見たのかと思うくらい恐怖に歪んだ。



「いやああーーーっ!!離してっ、マードレ!マードレーーー!!」


「な、いきなりどうし…っ!」


腕の中で暴れまわる少女の頭突きが顎に命中した
これは効いた…
腕の力が緩んだ隙をついて少女は腕の中から抜け出して、俺から距離をとる

俺は刺激しないように優しく話しかけた


「怪我をしているが大丈夫かい?」


「近づかないで!僕はもうあんなところに‥行きたく…な…い……」


何かに怯えているように叫んだ少女は、目に涙を溜めたまま膝から崩れ落ちた









金のうさぎに導かれて

(早く病院へ連れて行かないと!……そういえば、さっきのウサギはどこに…)
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