青春謳歌
□トランポリンと先輩と
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美歌ちゃんとの約束からバスケ部に入った私はまず二軍に昇格された。
美歌ちゃんも二軍だった。
ここでは昇格テストがあるらしく結果によれば一軍に入れるらしい。
教室ー
朝のHRの前、まだ人が少ない教室で一人読書をしていると数人の女子が小さく悲鳴をあげた。
何事かと教室を見渡せば同じクラスの赤司君がいた。
それに続いて美歌ちゃんが入ってくる。
「おはよう!有川さん!」
「おはよう、美歌ちゃん。」
相変わらず笑顔の眩しい美歌ちゃんに和んでいるとあっ!と何かを思い出したような声をあげた。
「そういえばあと一週間で昇格テストだね!」
「うん。」
「一軍目指して頑張ろうね!」
「そうね、頑張って受かりましょう。」
「あ、それとね!」
バックを置きに行こうとした彼女は顔だけをこちらに向けながら言った。
「昨日、清川先輩がジャンプすると背が伸びるって言ってたの!だからね、私家でトランポリンはじめることにしたんだ!」
「は………。」
私は唖然とした。
そして多分それは迷信だ美歌ちゃんよ。
主将も何を企んでいるのやら……。
…………………
「で、今のところなにか効果とかあったの?」
お昼休み。折角だしトランポリンでの成果を聞いてみることにした。
美歌ちゃんは卵焼きをフォークに刺しながら首を傾げた。
「トランポリンのこと?」
「えぇ。」
「んー……身長は伸びてないけど、部活の練習試合とかでリバウンド取れるようになったりはしてるよ?」
「!それって……。」
「ん?」
「美歌ちゃん、トランポリン始めてからどれくらい経つのかしら?」
「えっと…2週間だけど。」
「!!」
間違いない。主将はこれを狙っていたのか。2週間で小さい美歌ちゃんがリバウンドを取れるくらいまで成長するだなんて異例だ。
ただ、それをこの子は覆した。
「この調子だったらダンクも夢じゃないかな!?」
「………そうかもしれないわね。」
いや、それはきっと現実になる。
わたしの予感はそう告げていた。
……………
午後の授業が終わり放課後、いつも通り部室に行き着替えを済ませ先輩たちが来るまで美歌ちゃんと共に自主練をしようとしたその時
バンっ!!
となりから凄まじい音が聞こえた。
となりは確か第五体育館だ。
「何かな?今の……。私、ちょっと見てくるね!」
「みっ美歌ちゃん!?私も行くわ!」
第五体育館へと駆けていく美歌ちゃんを私は必死に追いかけた。
これがこれから先仲間となるもう一人異例な彼女との出会いだった。