海賊長編1/非日常

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全員揃ったところで自己紹介を済ませ、各々行動しはじめた。特にすることがないおれは、サンジの後ろをついて行くと、背後から凄まじい視線を感じた。最早、人さえも殺せるのではないかと思う程の視線を寄越すのは、振り返らずにも誰のモノか想像がついた。この視線はおれが挨拶をする前からずっとだ。明らかに怪しまれているが、仕方ない!自分が帰ってきたら、突然見ず知らずの男が仲間に入ったよ!よろしくね!なんて言っても疑うだろう。

「サーンージーっ」

「あ?何か用か?」

「用はないんだけど、なんとなく!」

変な奴、というような視線を送られたが、関係ない。直感でサンジについて来たんだから。

「サンジは休まねェの?」

「あァ、今夜は宴だからな。下ごしらえしとかねェと」

「ふー…ん、なあなあ、ここいてもいい?」

「いいけど、つまみ食いはできねェぞ」

「ええーケチー」

口を尖らせると気持ち悪ィと言われたので、更に口を尖らせた。ふと、小さい頃に母親が料理をするところを眺めていたことを思い出した。

「……懐かしー…」

何が、と目で言われた気がして、ふっと笑った。

「小さい頃、こうやって母さんが料理するところ見てたなって思い出したんだよ。懐かしいなァ」

童謡を鼻歌で歌いながらサンジを眺めると、興味なさそうに目を逸らした。サンジが聞いたのにね、

――…

しばらくすると、何やら甘い香りがしてきたので、身を乗り出した。

「何なに?甘い匂いがする」

「あァ、これは今日のおやつ」

「おやつ!!楽しみ!!」

サンジの料理が食べれると思った途端、小腹が空いた。某チョコレートのCMの曲を鼻歌で歌いながら待っていると、出来上がったのか、サンジが「よし、」と呟いた。

「どこで食う?」

「皆と食う!!」

「じゃあ外行ってろ」

「はーい」

スキップで外に出ると、ナミとロビンが優雅に脚を組んで、読書をしていた。

「ナミすわぁ〜ん!ロビンちゅわぁ〜ん!おやつですよぉ〜!!本日は…」

くるくるとぐねぐねとしながら器用にタバコの煙をハートにさせ、おやつを運んできたサンジは、素直に気持ち悪いと思う。おやつの名前が異常に長い。長い割りにはこじんまりと洒落けを出したスイーツが綺麗な皿の上に乗っていた。

「お前はどこで食うんだよ」

「ナミとロビンと一緒に食う!!」

「クラァ!!ふざけんな!何でお前が麗しいレディと食うんだよ!」

「いいじゃない!話したかったから丁度いいわ!」

「ふふふ、私も構わないわよ」

「ありがとう!いただきまーす!」

隣にいるサンジは何やらブルブルと震えているが、気にせずに一口食べる。

「うっまァーい!!」

「当たり前だろ」

「まじで惚れるわ」

「黙れクソ野郎!」

本当に美味しい。ふわっとしてとろっとして口の中で溶けていく。こんな美味しいスイーツ初めて食べた!それにしても、美味しいものは誰でも好きなんだと思う。だってほら、みんな、すっげェ笑顔じゃん!!




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