海賊長編1/非日常
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……何だかサンジの機嫌が悪い。話しかけても素っ気ない返事だし、視線は合わないしで胸が痛くなったため、キッチンから出て船尾に向かった。
「…おれ、なんかしたっけ…?」
考えても考えても出てこない答えにむしゃくしゃとして、おもむろに制服のポケットに手を突っ込んだ。
「…何だこれ」
出してみると、写真部の友達が撮った颯斗とおれのツーショット写真だった。一枚は制服で肩を組んでピースサインをしている写真で、もう一枚は、バスケ部のタンクトップで部活の休憩時間に水を飲みながらピースサインしている写真だった。何がそんなに楽しいのかわからないほど、二人ともニカッと笑っていて、思わず笑ってしまった。
「…随分と仲良さそうだな」
突然聞こえてきたサンジの声に、思わず肩を揺らした。
「――あァ、こいつ?一番仲いい奴なんだ」
中学からずっとバスケ部で一緒で、その上クラスまで連続同じときた。そりゃ仲良くなるだろう?
「…おれにはただ仲いいだけには見えねェな。同じ服まで着てんじゃねェか」
サンジの細長い指が、写真をトン、と指差した。どうやらカーキのジャケットにワイシャツ、ズボンという同じ学校に通っていたら男子全員が着るであろう制服のことを言っているようだった。
「あーこれ?制服だよ、みーんな同じの着てんよ。サンジが着たら似合うだろうな!」
「…男に褒められても嬉しくねェ。レディからなら大歓迎だけどな」
妄想しているのか、顔をデレデレとさせたサンジに何故かイラッとした。
「…にしても、やっぱこいつと何かあんじゃねェの?」
「…何、サンジはおれと颯斗に何かあって欲しいのかよ?」
「そういうわけじゃねェけど…」
「…あ、ごめん、」
つい、しつこいサンジにイラッとしてしまった。何か、悪いな…
「…でも、ほんとに仲いいだけだから」
「…おう、」
隣に座ったサンジに、何故か心臓が一回、大きく跳ねた。