海賊長編1/非日常

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まだ、日が出ていないので辺りは暗い。誰ひとり起きている人はいなかった。そんな早朝、おれはサニー号から下りた。

――――…

少年がいた、あの場所に行くと、少年は、おれに背中を見せて座っていた。

「…何しに来たの?」

その少年から放たれた声は、余りにも冷たい。

「え、何しにって…」

「もしかして、残るか帰るかを言いに来たんじゃないよね?」

「え…?そうだけど…」

「君さ、僕が何のために猶予をあげたと思ってるの?」

そんなこと、言ったって、

「だってあと5日もいたら、絶対帰りたくなくなる!」

目の前の少年は小馬鹿にしたように笑い、冷たい目でおれを見た。

「ふーん。君は好きな人に何も言えないまま帰っても後悔しないんだ?」

「…でも、きっとサンジは男のおれなんて、好きになんてならねェから…」

…そうだ、女好きのサンジに男のおれなんて、無理に決まってる。

「実際はどうなのか分からないくせに、自分で勝手にダメと決め付けて。何とも愚かで惨めだ」

『愚かで惨め』何故か、その言葉は深く突き刺さった。

「ま、別にいいんだけどね。君は帰っても、そのモヤモヤとした感情を一生背負って生きていくんだから。」

おれは、ずっとこの気持ちを背負って生きていける?何も行動せずに、何も言えずに帰ったことを後悔しないでいられる…?

「…っ!ごめん自称神さま!やっぱおれ、言ってくる!後悔したくねェから!」

「ふっ… 自称は余計だ」

走った。ひたすら走った。大好きなサンジの元へ。おれの気持ちが伝わればいい。最初っから諦めてたけど、モヤモヤしたままじゃいたくないから。当たって砕けてもいいじゃないか。ダメだった時のことだけを考えて、保守的に生きるより何倍も、何十倍も気持ちいいじゃないか。

おれの想いが、サンジに届け!




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