忍たま長編1/勿忘草
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おれの隣の奴は潮江だった。おれとしては意味のわからない潮江と立花には関わりたくないのだが、如何せん潮江のあんな顔を見てしまったあとだ。あまり強く出れるわけがなかった。
「…決めた」
突然呟いた潮江に何を?と言う勇気が出ない。だって、巻き込まれそうじゃないか。
「渚!決めたぞ」
がっちりと肩を掴まれ、悪い予感しかしなかった。
「………何を?」
顔を見ると、ギラギラとした目が向けられている。その肉食獣のような目はどこかで見たことがある気がした。
「おれ、お前が思い出すまで待つからな」
「………………何を?」
もう、ほんとわからない。何言ってるのこいつ。おれは生まれてこの方事故に遭ったことなどないし、記憶喪失になったこともない。潮江や立花に会った覚えもないし、その他二人の友達にも会った覚えは全くない。しかし、六人全員おれのことを知ってたし、合流が遅すぎるとも言っていた。
…合流?何に合流?
「絶対、思い出させてやるからな」
「もう、勝手にして…」
電波野郎だけど、なんかほっとけない感じはするんだよな…
「ギンッギンに思い出させてやる!」
「ははっ、何だよギンッギンって」
頭の奥の方で微かに何かが聞こえたが、あまりに小さい音だったため、わからなかった。