短編

□若気の至り
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※R18






別に好きだったわけじゃない。たまたま一緒にいたのがサンジで、たまたまお互いムラムラしてて、たまたまお互いいつもと違う、非日常的なことがしたいと思ってて、

「あ…、ンぁ…、さ、んじ…」

たまたま女子とセックスするのが飽きてただけで、

「は…、もう、大丈夫そうか?」

たまたま部屋に二人っきりで、

「ん…、早く、きて…」

たまたま家に親がいなくて、

「…挿れるぞ、」

たまたま道具が揃ってて、

「んぁ…!あ、…ぁっ、さんじっ、ン、」

たまたま本番のセックスをしてしまっただけ。

「…翔太ん中、熱ィ…!」

「あぁっ、サンジが、中に、いんの、ンぁ、わかる…!」

どんどんと入ってくる感覚は味わったことが無くて、何も考えられなくなる。

「もう少し力抜け…!!」

「ぁああアっ…!!無理、っ!」

ゆさゆさと揺さぶられる体とそのたびに電流が走るかの如く快楽が駆け巡る。目の前はチカチカとして意識が今にも飛びそうだ。

「クソっ…!締め付けすぎだ…!!」

「だって、ぅあっ…!ン、んんんっ…!」

目の前で息を荒くさせ、いつも綺麗に整っている髪を乱れさせているサンジにドキン、とした。

「ぁ、も、ダメ、だ…!!」

「おれも、…!!」

サンジの首に腕を回し、ぎゅっと抱き着くと同時にドクン…、と果てた。










あんなことがあった後でも、おれたちは何も変わらずに過ごしている。毎日、朝一緒に登校したり、休み時間話したり、弁当食ったり。サンジは相変わらず女の子大好きで、メロリンだーのなんだーの言っている。ただ、変わったのはおれだけ。おれは女の子を抱けなくなった。

…だって、あんなに気持ちよかったの初めてだったんだよ…

おれは隣で女の子と話しながら笑っているサンジを見て、口を尖らせた。

「それなのに、サンジくんはー」

「あ?」

サンジは女の子と話していた顔とは全く違う、眉間にシワを寄せた顔で振り返った。

「いやー?なーんでもね、」

するとサンジはあっそ、と言うと、また女の子の方に向き直って笑顔で話しをしはじめた。

「ちぇ、」

なんかおもしろくない。こんなの前からなのに、ちっともおもしろくない。

「サンジー」

「あ゙?」

机に寝そべり、サンジを呼ぶと、サンジは盛大に睨みを効かせながら振り返った。

「今日おれん家、来ねェ?」

「あー…いいけど、何すんだ?」

「んー…狩り?」

「また?…ま、いいけどよ…」

ということで今日はおれん家で狩りをすることになりました。





家に帰ってきてもう三十分は狩りをしている。部屋に二人きりで、親も家にいない。この間と同じ条件だ。でも、きっとサンジはおれに何もしてこない。だってサンジは女の子が好きなんだから。…いや、おれも女の子が好きだぞ?好きだけど、違う。何かがあの時を境に変わってしまった。

「…なァ、」

「ん?」

おれが話しかけると同時に敵が現れた。

「おれ、女の子抱けなくなっちゃった、」

「…………は?」

サンジは敵と戦っていた手を止め、おれを困惑したように見た。

「…サンジに抱かれて、女の子を抱けなくなっちゃった、」

それどころか女の子と一緒にいるところを見るだけで、モヤモヤとした感情がおれを占領していく。

「…サンジが好きみたい、」

サンジは固まって動かない。ゲーム機にはGame Overの文字が点滅している。時計の針が時を刻む音が嫌に部屋に響く。

「…だからって、どうしようってわけじゃないんだけどさ、」

後先考えずに発した言葉は思ったより重たかったらしい。だって未だにサンジが動かない。

「…サンジは、おれを抱いて何も変わらなかった?」

「は…?」

おれはゲーム機を置いて、サンジにずいっと近づいた。

「おれを見ても何も思わなかった?あの時のことを思い出さなかった?おれが女の子といても何も思わなかった?」

じわじわとサンジとの距離を縮めるように近づく。

「おれは思い出したよ、おれは思ったよ、」

何も変わらないなんて、嘘だ。あんなことがあって変わらないなんて、絶対にないだろ?

「………クソ…、」

しばらくしてサンジは頭を抱えてしまった。

「…何も思わねェわけねェだろ、何も思い出さねェわけねェだろ…」

サンジは顔をしかませて、おれを見た。

「…おれだって、今までとは何かが変わってしまったことぐらい気づいてた」


若気の至り


おれたちはそんな言葉で済ませられるような簡単な関係じゃないから

「ただ、考えねェようにしてた」

サンジは相変わらず頭を抱えている。

「考えたら何もかも変わってしまう気がしてた」

何が言いたいかわからずにサンジを見ると、サンジは上を向いて片手で目を覆った。

「…でも、もう遅ェ、な…」

「…サンジ…?」

サンジは手を降ろし、おれをちらりと見た。

「…おれも好きみてェ」

じんわりとした何かがおれの中に広がった。

サンジは元々おれの中で特別だった。サンジは友達というには物足りなくて、何といっていいのかわからなくて親友と呼んだ。それでも何か違和感があった。その違和感は感じるだけではっきりとわかるものじゃなかった。

「…じゃあ、」

「あァ、」

これからどんな困難が待っているのかわからない。でも、それでもおれたちは後戻りできないこの道を進んでいこうじゃないか、

「よろしくな、」





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