海賊長編7/不良
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「おれ、ずっとサンジのこと好きだったんだ」
放課後の校舎裏、今日でおれはこの学校から転校する。その前にせめて想いだけでも、と思い、思いきってサンジに告白中。中学生活はあと一年残っている。本当はあと一年、サンジと過ごして卒業したいのだが、まだ財力もない子供は親の言うことには逆らえない。
「…は?何言ってんだよ、気持ち悪ィ…」
「え、あ、ごめ」
「男とかまじで無理。気持ち悪ィな」
サンジは不快極まりないという顔をしながら吐き捨てた。おれは見事玉砕。
そしておれは
グレました。
「今日からこの2−4に転入する野崎日向君だ。はい、自己紹介して、」
「……………野崎日向。よろしく(んなもん、する気ねェけど)」
またもや親の都合で転校することになり、高校二年の夏休み後からこの高校に編入することになった。クラス全体を一瞥してみる。どうやらおれを快く受け入れてはくれなさそうだ。まあ仕方ない。傷みきった茶髪、ツンツンにセットされた髪型、いくつも付けられたピアス、思い切り着崩した制服。誰がどう見ようが、どこからどう見ようが、ヤンキーなのだ。
「じゃあ、あの目立つ金髪の隣の席に座って、」
「…」
大勢いる黒髪の中からは浮くほどわかりやすい金髪の隣の窓側の席にペタンコの革鞄を持って向かう。
ガタッと大きな音をたてて座るとクラスにいる数人がビクリと肩を揺らした。
「じゃあSHRは終わりだ」
担任の声に応じてクラス全員が立ち上がる。おれは立ち上がることもせずにそのまま窓の外を眺めていた。
くそ…めんどくせェな…
どうせ誰も話しかけて来ないだろう。同じ中学だったやつもいるかもしれないが、豹変したおれに誰も気がつかないはずだ。自分で言うのはあれだが、おれは中学のときは割りと人気のあるほうだった。誰とでも仲良くできるフレンドリーな性格だった。それが今はこれだ。ま、何もかもサンジにフラれたのが始まりだけど。
「…日向…?」
相変わらず何も見るものなんてない窓の外を眺めていると、隣から心地の良い低音な声で名前を呼ばれた。しかし馴れ馴れしい。初対面のやつに名前を呼び捨てされる覚えはない。
「…あ゙?」
凄みながら振り向くと、そこには忘れもしない、あの顔が。
「…っ、」
くるっと特徴的な眉毛、綺麗な金髪、綺麗な顔。おれが惚れ、おれがグレるきっかけとなった男。
「…にしても、雰囲気変わりすぎだろ」
「…テメェには関係ねェだろ」
唸るように低い声を搾り出す。ガンを飛ばし、威嚇するが当のサンジは全く怖じけづく様子を見せない。
これ以上、サンジと話す必要はない。それ以前の問題で、話したくない。
「…とにかくおれに話しかけんな」
サンジから目を逸らせ、窓に目をやった。
「は?」
「テメェとなんか話したくねェ」
思った以上に強く出た拒絶に内心戸惑いながらも、体育の準備をしている生徒を眺めつづけた。