short**krk

□鮮やかな青
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空の青さは嫌い。


みんなは好きっていうけれど、あたしは眩しいから。




雲一つない空だなんて、吐き気がする。



…だ、なんて、今日も暗いこと考えちゃう。

だめだなぁ、あたし。



「あや、」


練習が終わったのか、あたしのもとへ走ってきた青峰君。


あ、あたし、青峰君の青は好きなの。


「今日も鮮やかだなぁ、青峰君は。」


「はぁ?」



バスケばかなあなたが好き。

試合中も練習中も輝くその青が好き。

青が似合うあなたが大好き。




どうやって伝えようか、この想い。


「おら、帰んぞー」


「あ、待って待って青峰君。」


「んあ?」


振り返った彼の唇にキスを落とす。

あたしは昔から想ったことを言葉で伝えるのが苦手だから。



「…なんだよ、お前。」


「へへ、びっくりした?」


「へへ、じゃねーよ。
無防備な。」


「青峰君にしかしないもーん」


「ば、おま、」


そうやって顔を赤くするあなたを、本当に愛おしいと思う。



あぁ、好きだなぁ。


「ったく、行くぞ。」


「うんっ」



ああ、空が鮮やかだ。





鮮やかな青。


(いつまでも、そのままで。)
 

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