short**krk
□壊れる音
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その音に、気づけないわたしたちがいた。
涙を流して、もう分からないと悔しげに呟いたあなたを見ていた。
わたしには何もできない。
黒子テツヤという存在に、一番助けられていた彼は、それだけに大きな痛手だったのだ。
「あお、みね、」
声は届かない。
雨の音にかき消されて、かすかに聞こえたのはひび割れたわたしたちの日常。
お願いだから、誰か気づいてあげて。
彼はこんなにも苦しんでるのに。
他のみんなが、同じように崩れていくのはこれからすぐのことだった。
わたしたちの日常は
消えた。
壊れる音。
(それは誰にも分からなかった。)