short**krk

□開いた口が塞がらないとはまさにこういうことだ
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「…で?何でわたし、こんなところに連れてこられてるわけ?」




隣を見上げれば長身の男。

下を見れば熱く試合をする男たち。




「今日のラッキーアイテムなのだよ。



「いやごめん、まったく意味がわからない。」


「何度も言わせるな。おは朝では身近な異性がラッキーアイテムだっただけのことなのだよ。」


「…あんた…まだあれやってたんだ…」




こいつ…緑間真太郎とわたしは所謂、幼なじみで。


あほ峰と桃ちゃんまでとはいかないが、中学のころはそれなりにいつも一緒だった。

だけど高校は分かれて、わたしは少し遠めの進学校に。

彼は近場の学校にバスケの推薦で。



まさかこんな風に、休日に呼び出されるとは思っていなかった。




「それで?あんたの試合、いつよ」


そう言うと、この男は自分の指で眼鏡を掛け直しながら、ちらっとこちらを向く。

その指のテーピングも昔のままだ。




「次、なのだよ。」


「はぁ?じゃあもう準備しなよ!」


「すぐに行く。」



有無を言わせない雰囲気だって何も変わっていない。

あのまま一緒にいると、友達にも恋人にもなれないと思って遠くの学校にしたのに。 
 




それでも、彼の中での身近な異性の枠をまだ自分が所持できているなんて思っていなくて。

少し、嬉しい気がしたのも紛れもない事実だ。




「…見てろ。」


「え…?」


「見てろ、と言っているのだよ!」


「ちょっ」



叫んだ彼はそうしていってしまった。

10分後に試合が始まって、思わず緑の頭を探す。



探す必要もなかった。



シュートしてから、それを確認せずに振り返った彼と、目があった気がした。





開いた口が塞がらないとはまさにこういうことだ。



(胸が、震えた。)

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